医師と離婚する場合のポイントをまとめました。医療法人の問題など。
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夫は医師なのだけれど、離婚したい、とお悩みの方へ、医者と離婚する場合に問題となる点を、特に取り上げて、ご説明します。
勤務医か開業医かで、財産分与の難しさが変わります。
まず問題は、ご主人が勤務医なのか、開業医なのか、ということです。勤務医であれば、収入が多いサラリーマンと同様に考えればよいため、注意すべきことは多くないのですが、開業医である場合には、これからご説明する難しい問題が出てきます。
開業医の場合、病院(診療所)に関して注意すること
病院(診療所)は法人化しているか。
病院(診療所)は、医療法人になっているでしょうか。それとも、個人事業主のままでしょうか。
それぞれのケースで、離婚のときに財産分与する対象が異なりますので、注意が必要です。
法人化している場合、出資持分があるか。
法人化して医療法人となっている場合には、さらに、出資持分があるか(解散時に払い戻しを受けられるかどうか)がポイントとなります。
平成18年以降は、出資持分なし医療法人の設立しか認められていませんが、平成18年以前に設立された医療法人は、出資持分あり医療法人で設立されたものが多いため、注意が必要です。
出資持分ありの医療法人の場合、出資持分は財産分与の対象となりますが、出資持分なしの医療法人の場合は、難しい問題が生じます。
医療法人に出資持分がある場合、その名義は誰か。
出資持分ありの医療法人において、医師である夫だけでなく、親や妻が出資者となっているケースがあります。
この場合、離婚にあたって、出資持分をどのように整理するかが問題となります。
多くのケースでは、妻が医療法人の持ち分を所有していても意味がなくなるため、夫に相当な対価で引き取りを求める(財産分与する)こととなります。
医療法人の出資持分の評価
出資持分を、どのように評価するかが問題となります。多くのケースでは、医療法人の決算書に基づき、純資産価格をベースに出資持分を評価することが多いですが、出資持分の払い戻しにかかる課税を考慮し、これを一部減額するなどの方法を行うこともあります。
評価の難しい不動産が多い
医師は、診療所の敷地や建物、自宅不動産、賃貸アパート、別荘など、所有する不動産が一般の家庭に比べて多いといえます。
また、不動産も、医療法人名義にしてあるもの、医療法人に貸し付けてあるもの、第三者に貸し付けてあるものなど、様々な不動産があり、それぞれをどのように評価するかで、財産分与を受けられる額が変わってきます。
不動産をすべて鑑定することもありますが、双方で査定書等を取得したうえで、評価方法について合意し鑑定を省略することも多いため、どのように主張していくかは重要です。
海外資産がある
海外の預貯金や、海外に不動産があるケースがあります。
近年よく見かけるのは、いわゆるタイムシェアリゾートにかかる権利です。
数百万円程度の価値となるケースも多く、見落とさずに財産分与の対象として主張することが大切です。
現物資産が多い
医師の場合、絵画や骨とう品、ワインなど、価値のある動産を多く所有しているケースがあります。
どのような動産があるかという点や、どのように評価するのか、という点まで、考えて動くことが大切です。
医師との離婚では、財産分与が2分の1にならない可能性がある。
財産分与では、夫婦で築いた財産を半分ずつ(2分の1ずつ)にするという話を聞いたことがあると思いますが、医師の場合は、医師の収入や、妻の貢献により、財産分与の割合が変更される場合があります。
財産分与をできるだけ多くとるためには、家庭内での貢献や、病院や診療所で、経営を手助けしていたことを、積極的に主張する必要があります。
まとめ
医師と結婚したけれども、離婚を考えている、という場合、医師特有の財産分与に関する問題があります。
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