離婚の際、子ども名義の預貯金も財産分与をしないといけない?

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 お子様の将来のため,子ども名義で預金されてきたお金がある家庭もあると思います。これは,子どものために貯めたお金なので,離婚した後は,子どもを育てていくために使いたいので,財産分与したくない,というご相談が多く有ります。そこで,お子様名義の預貯金について,ご説明します。

子ども名義の預貯金も財産分与の対象となりうる。

 子ども名義の預貯金も,夫婦の結婚生活中に貯蓄したものであれば,夫婦で築き上げた財産として,財産分与の対象となります。子ども名義だから対象にしないということは,できません。そのため,法律上は,子ども名義の預貯金も2分の1ずつとなります。

 ただ,ケースによっては,お子様がもともといらっしゃる方が結婚(再婚)した場合には,結婚するまでに貯蓄した分は,夫婦で築き上げた財産に当たらないので財産分与の対象になりません。

協議して決まればどんな結論でもいい。

 離婚のご相談でよくある回答は,夫婦で合意すればどんな結論でも構わない,というものです。確かにその通りで,子ども名義の預貯金は分けない形で話し合いができれば,どのような結論も取れます。ただし,相手が合意しないといけないので,話し合いでどんな結論もできます,というわけではないことに注意が必要です。

実際の話し合いについて

 実際には,私が関わる,お互いの対立が激しい案件でも,子ども名義の預貯金は財産分与の対象にせず,親権者が取得するという形で合意することも,一定数ある印象です。

 子どものためだという形で話がまとまるケースに共通して当てはまる点としては,面会交流ができていて子どもとの関係が良好であることや,お互いに子どものためを考えてきちんとしてくれるという信頼関係があることなどが挙げられます。

 このようなケースでは,お互いに,子ども名義のお金は子どものために使うべきだという共通の理解があり,その上で,親権者に任せておけばきちんと子どものために使ってくれるという信頼から,財産分与の対象とせずに合意できているのだろうといえます。

なぜ話し合いがまとまるか

 話し合いがまとまりやすい点として,私の個人的な感想は以下のとおりです。当然,当てはまらないケースもあります。

 子ども名義の預貯金に関しては,子どものために使うという点では共通の理解があることが多く,むしろ問題とする点は,渡す側としては,きちんと子どものために使ってもらえるのかわからない,不安だから,財産分与の対象にしたいということが多くあります。

 また,もらう側としては,子どものためのお金なのだから,親権者である側がもらい,子どものために使うべきだという意識を持っている方が多いと思います。

 見ていただければわかると思いますが,お互い向いている方向は同じく子どものためというところなので,後は,お互いに不安を解消できるように話が進めば,合意に至る可能性が高くなります。

 当然,違う考えを持っている方もいるので,その場合には進め方を変える必要があります。

学資保険について

 共通する問題として,学資保険があります。こちらについても,同じように,財産分与の対象となります。そして,離婚の場面では,財産分与の対象としないケースが一定数存在します。

 むしろ,保険という形式を取っていることなどから,子ども名義の預貯金よりも,財産分与の対象としない形での合意が成立しやすい印象を受けます。

結論

 これまで述べたとおり,子ども名義の預貯金が法律上どうなるか,また話し合いをどのように進める方がいいか,ということをご説明しました。

 話を進めるためのポイントはほかにもございますので,話し合いの進め方がきになる方は,一度弁護士にご相談ください。

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