「おすすめの離婚に強い弁護士●選」や、「離婚弁護士ランキング」が存在しない理由を考えてみました。

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 例えば普段あまり買わないものを買うときや、色々な製品が出ていて迷ってしまうときなど、「●● おすすめ」などの検索ワードで検索して、事前に情報を収集します。

 それは、買い物をするときに、後悔したくない、周りの人の口コミを見て買い物をしたいという気持ちがあるからだと思います。

 離婚を依頼する弁護士を選ぶときも、後悔したくない、周りの人の口コミを参考にしたい、という気持ちになると思います。

 そこで、離婚を依頼する弁護士を選ぶときにも、「離婚 弁護士 おすすめ」であったり、「離婚 弁護士 東京 ランキング」などの検索をされてみた方が多いのではないかと思います。

 しかし、検索しても、「離婚に強い弁護士人気ランキングtop●」のような記事は見つかりません。

 これはなぜなのか、今回は、その理由について、特に離婚事件に関して、私の考えをまとめるとともに、インターネット上で弁護士を選ぶ際のポイントについても考えてみました。

弁護士業界は、ステルスマーケティング、アフィリエイト広告は禁止されている。

ステルスマーケティングと比較サイト

 すべてとは言いませんが、ランキングサイトの中には、いわゆるステルスマーケティング、つまり中立に比較をしているように見せかけて、実際には広告費をもらって掲載しているケースがあります(「検索」を汚染するアフィリエイトの闇 広告主をも騙す、ステマの手口」)。

 また、口コミサイトでも、有料の場合にはサイトの上部に表示されやすいといったサービスを行っているものもあります。

 しかし、弁護士は、厳しい広告規制があり、「 誤導又は誤認のおそれのある広告」は、禁止されています(弁護士の業務広告に関する規程第3条第2号)。

 そして、広告費を支払いながら、あたかも中立に比較していることを装うサイト(ステルスマーケティング)は、「誤導又は誤認」にあたる可能性があるため、禁止されていると考えられます。

 そのため、ステルスマーケティングを意図したランキングサイトが、弁護士から費用を受け取ることができないため、成り立ちづらいことになります。

アフィリエイト広告と比較サイト

 また、比較サイトの中には、アフィリエイターがアフィリエイト広告を掲載するために記載したものが多くあります。

 なお、アフィリエイト広告とは、成果報酬型の広告(自分のサイトに広告を掲載し、そのサイトから成約した場合に報酬がもらえる広告)を言います。

 弁護士は、お客様を紹介いただくことの対価として金銭(いわゆる紹介料)を支払うことは禁止されています。そのため、例えばアフィリエイト広告のように、1回購入したらいくら、という形で広告を出すことはできません。

 そのため、各種商品と異なり、比較サイトを書く動機がアフィリエイターになく、比較サイトが作成されない傾向にあります。

結果

 上記の結果、ステルスマーケティングを目的としたランキングサイトや、アフィリエイト広告を目的としたランキングサイトが立ち上がらない構造となっており、ランキングサイトがないことになります。

 これらは、根拠のない比較サイトに惑わされないことになるので、お客様にとってはいい面もあると思います。

離婚事件で、複数の事務所を体験することができず、比較しづらい。

 ステルスマーケティングやアフィリエイトと無関係に、実際に体験したことを紹介したいと思った場合、自分で実際に買ってみたり、体験したりして記事にすることになります(アフィリエイトサイトに関することはのちに述べます)。そして、信頼できるのは、実際に体験した方が比較したサイトです。

 しかし、離婚について、複数の事務所に依頼することは、一般的にはほとんどありません。複数の事務所に相談に行く方は多いのですが、実際に依頼する事務所は1か所(合わないということで途中で交代しても、せいぜい2~3か所)にとどまります。

 そのため、実体験として比較することが難しく、記事にしづらい、ということが挙げられます。

弁護士をどのように評価するか難しい

 一般に、サービスであれば、いい効果があったかということ、食べ物であれば、おいしかったかどうか、という点から、ランキングやおすすめが決まります。

 しかし、弁護士の評価は、どの面で評価すべきか、難しい部分があります。話しやすかった、要望通りになったなど、色々な評価があるところですが、これだからいいと、はっきりとお勧めしづらい面があると感じます。

 そのため、客観的な、納得のいく形での評価が難しく、ランキングにしづらいという面があると思われます。

お客様の数が少なく、多くの口コミが集まらない

 一人の弁護士が1年間で依頼を受ける件数は、一部の大量処理が可能な事件を除くと、数十件程度と思われます。年間で、数十人しか、一人の弁護士に依頼しないことになり、口コミは集まりづらいです。

 そのため、飲食店のランキングサイトなどと異なり、口コミをベースとしたランキングは成立しづらいといえます。

 なお、各弁護士の口コミを確認したいのであれば、弁護士ドットコムやグーグルの口コミが参考になると思います。

 実際の相談の雰囲気がどうであるかは、口コミをご確認いただくのが一番わかりやすいと思います。

 参考 あいなかま法律事務所の所長弁護士中村正樹の口コミ(弁護士ドットコム)

弁護士を選ぶには

 上記のとおり、離婚について、弁護士のランキングサイトは今のところありませんので、実際にご相談して、ご自身にとっていいと思う弁護士に依頼するのが一番いいと思います。

 弁護士事務所によっては、無料相談を実施している事務所もあるので、ご活用ください。