多くの離婚のご相談にのってきた弁護士が教える、離婚したい方に向けた、離婚するための行動。

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 離婚したいと思ったとき、どうしますか。

 ご相談者のお話を聞いていると、相手に離婚したいことをストレートに伝える、話しても聞いてもらえなさそうだから、家を出ることに決めた、など、色々なケースがあります。

 離婚したいと思ったとき、どのようにするかはあなたの状況に応じて様々な方法がありますが、いくつかパターンと、選ぶ際のポイントがあります。

 そこで、以下では、離婚したいと思ったときに次にどのように行動するかという視点から、多くのご相談者が行ってきた方法を、ご説明したうえで、離婚までの流れを解説します。

 実際にあなたのケースでどうした方がいいかを考えるうえで、参考になるモデルケースとしてご覧ください。

離婚したいと思ったときの行動 準備編

 まずは、離婚に向けた準備をします。準備の視点は、離婚の話し合いに向けた準備と、離婚後の生活に向けた準備の2つの視点です。

離婚の話し合いに向けた準備

 離婚の話し合いの際には、財産分与、慰謝料、お子様がいる場合には親権や養育費を決めることになります。

 離婚を切り出す前に、お互いの財産がどの程度あるのか、ご自身の離婚のケースでどの程度財産分与を受け取れるのか/支払わなければいけないのかなどを、考えておく必要があります。

財産分与をどうするか。

 財産分与のポイントについては、以下の記事を確認ください。

養育費はいくらになるか。

 養育費については、算定表が大まかな基準となりますので、これをもとにして検討するのがよいと思います。

離婚後に向けた準備

住むところ

 離婚後、引っ越しが必要であれば、どの地域に住もうと考えているのか、それともいったん実家に帰るのかなどを、事前に考え、必要があれば両親に相談しておく方がいいです。

 実家に住めるケースでは、いったん実家に身を寄せている方が多い印象です。

今後の生活費

 また、現時点で収入がない、又は少ないのであれば、離婚後の生活をどうするかを考えておく必要があります。

 働くのであれば、早めにどのような仕事につくのか考えておくなどです。

 また、離婚後に受けられる公的支援があるかどうかも事前に調べておくことが望ましいといえます。

離婚したいと思ったときの行動 話し合い編

 準備ができたら、離婚について話し合いますが、その前に別居するかどうかという選択肢があります。

 そこで、以下では、同居のまま話し合う場合、突然別居して話し合う場合、お互い納得して別居したうえで、離婚について話し合う場合の3つの場合に分けて説明します。

同居しながら、直接話し合う

 離婚したいと思ったとき、多くの場合は、まずは夫婦で話し合いをしています。

 実際にご相談にいらっしゃる方のお話をお伺いしても、離婚したい、という意思と、なぜ離婚したいのかを伝えて、相手の離婚についての考えを聴き、話し合ってからご相談されることが多いです。

 話をするタイミングとしては、ケンカしているときに話すのではなく、落ち着いて話ができるタイミングが望ましいといえます。

 まずは離婚(と子どもの親権)に関する意思を確認して、納得してもらえたら、次に財産分与などについて話し合いを行ってください。

 お金の話をまとめてしてしまうと、お金に納得ができないから離婚しないのか、そもそも離婚したくないのかが不明確になってしまいます。

突然別居して、そのあとで話し合う。

 家に帰ったら妻と子どもが出て行ってしまっていた、というケースは、ドラマの中だけの出来事と思われるかもしれませんが、しばしばご依頼を受けます。

 話し合いができないタイプの方であったり、話し合うと危害が加えられる恐れがある場合などに、この方法を取ります。

 女性の方が、この方法を取られることがよくあります。

 別居した後、相手と話し合いを進めることになりますが、その際の話し合いの窓口として、弁護士に依頼される方が多い印象です。

一旦別居する旨の話をして、別居したうえで、離婚について話し合う。

 上に挙げた2つの折衷案として、離婚について話をしたけれども、なかなか話がつかなかったので、一旦別居してお互い頭を冷やそうという話をする。その上で、改めて離婚について話を進めるという方法があります。

 お互いに離れて生活しており、当面の生活が安定しているため、比較的落ち着いて話し合いができます。

 ただし、一緒に暮らしておらず、別々に生活することにお互いが慣れてしまうと、そのまま話し合いが長期化することがあります。

その他の方法

 その他、別居とともに離婚調停を起こす、などの方法をとる方もいらっしゃいます。

 実際には、ご自身が置かれている状況やこれまでの話し合いを踏まえて、どのような行動をとるかを決めます。

離婚したいと思ったときの行動 手続き編

 離婚したいと思ったときに、とることができる手続きについてご説明します。

離婚届けを提出する、協議離婚

 離婚について、お互いで話しあいをして、合意し、離婚届を市役所等に提出する手続きです。

 離婚の際に、離婚届とは別に、話し合いの内容をまとめた文書を作成した方がいいケースもあります。

関連記事 離婚の際に公正証書は必要!?公正証書を作成するメリットはこちら。

調停で話し合って離婚する、離婚調停

 話し合いで合意できず、離婚届を提出することができなかった場合、裁判所の調停手続を活用する方法があります。

 これは、夫婦関係調整調停(離婚調停)と呼ばれ、裁判所で話し合いをする手続きになります。多くのケースで、調停で離婚が成立しています。

関連記事 初めての離婚調停。知っておきたいことをまとめました。

離婚調停の流れ。

 家庭裁判所へ離婚調停申立書を提出します。

 あなたと、配偶者へ、家庭裁判所が決めた期日に裁判所へ来るよう通知が来ます。

 当日は、あなたの話と、配偶者の話の両方を、調停委員が聞き、お互いの意向を確認しながら、相互に合意できる部分がないかを模索していきます。

 また、並行して、財産分与や、その他について争いがあるのであれば、資料の提出を促して整理したり、お互いが納得できない点を整理して、問題を明確にしていきます。

 そのような過程を経て、話し合いで合意できないかを探っていくことになります。

 おおむね月1回程度の頻度で行われ、単純なケースであれば3回程度で方向性が見えることもあれば、1年以上話し合いをしているケースもあります。

調停で合意できた場合。

 調停で話し合いがまとまると、裁判所が、話し合いの結果を調停調書という形でまとめ、離婚が成立します。

 離婚が成立したら、調停調書をもって市役所等に行き、離婚届を提出します。裁判所が認めた離婚なので、双方の署名押印は不要であり、一人で提出することが可能です。

調停で合意できなかった場合。

 調停で話し合いがつかなかった場合には、調停は不成立となります。取り下げを勧告される場合もあります。

裁判所が強制的に離婚させる、裁判離婚

 調停で離婚について合意できなかった場合には、裁判により離婚する方法があります。

 裁判で離婚するためには法律上の離婚原因が必要となり、裁判所が離婚を認めた場合には、離婚が成立します。

 配偶者が拒否していても、強制的に離婚できることが、裁判で離婚することの大きなメリットです。

関連記事 裁判離婚とは。調停で離婚できないときにどうすればよいか悩まれている方へ。

まとめ

 離婚に関する話し合いについて、離婚したいと思ったときにとるべき行動という視点からまとめました。

 ご自身の場合に、どのような方法で話し合いを進めるのがいいのか悩まれている方は、60分無料法律相談を実施しておりますので、あいなかま法律事務所へお問合せください。