初めての離婚調停。知っておきたい5つのことをまとめました。

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 離婚しようと思って話し合いをしたが、離婚に応じてくれなかったので、離婚調停をしたい、または、裁判所から突然離婚調停の呼び出しが来た。

 離婚調停って何だろう。名前は聞いたことがあるけれど、内容がよくわからない。

 この記事は、そのような方へ向けて、離婚調停とは何か、離婚調停の流れ、当日の持ち物、離婚調停で話した方がいいこと、弁護士に依頼するメリットをご説明します。

離婚調停とは何か。

 離婚調停という言葉は、色々と調べると出てくるけれど、実際よくわからない、裁判と何が違うのか、という疑問を持たれている方は、少なくないと思います。

 私は、ご相談にいらっしゃった方には、離婚調停は、裁判所で話し合いをする手続きです、とご説明しています。

 ここでは、この意味をもう少し具体的にご説明します。

裁判所は、裁判をするところではないの?

 裁判所、と聞いたとき、真っ先に思い浮かべるのは、「裁判」ではないでしょうか。

 テレビのニュースで流れるような、広い法廷で裁判官が正面に座っており、証言台に立った人が裁判官に話をする(リンクは裁判所ホームページ)、というイメージです。

 この写真で写されている法廷は、例えば離婚の裁判をする場所であり、裁判官が結論を出す手続きです。

 これに対して、離婚調停は、このような裁判官が前に座るという一般にイメージする法廷ではおこわなず、例えば、このような部屋(リンク先は裁判所ホームページ)で行います。

 ややわかりにくいですが、机が一つ置いてある、小さめの部屋です。

 そこで、調停委員と、あなたや相手方が話をします。

 なお、例外的な場合を除き、あなたと相手方が直接話をすることはありません。

調停にはどんな方がかかわるの?

 調停では、調停委員と呼ばれる方が、事件に深くかかわり、双方から話を聞くことになります。

 調停委員とは、裁判官とは異なり、裁判所から選任された方になります。

 調停委員は,調停に一般市民の良識を反映させるため,社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれます。具体的には,原則として40歳以上70歳未満の人で,弁護士,医師,大学教授,公認会計士,不動産鑑定士,建築士などの専門家のほか,地域社会に密着して幅広く活動してきた人など,社会の各分野から選ばれています。

裁判所ホームページより

 その他、裁判官(普段は調停室には来ませんが、調停委員を通じて話し合いの推移を見守っています)と、書記官(裁判官の秘書のような方)が、調停手続きに関わります。

 調停の主役は、あなたと、あなたの相手方となる配偶者です。

調停の流れ

 以下では、調停で何をするか、調停の最後はどのように終わるかをご説明しながら、調停の流れを解説します。

いざ離婚調停だ、でもどうやって始めるの?

 離婚調停は、調停申立書に必要事項を記入して、裁判所へ提出すれば申し立てることができます。

 離婚調停の申し立てだけであれば、ご自身で、インターネット上で調停申立書の書式をダウンロードし、必要事項を記入して裁判所へもっていけば可能です。

 実は、必要書類の書き方など、手続きがよくわからなければ、裁判所の窓口で教えてもらうことができます。裁判所によって初めに提出を求める書類などの運用が多少が異なることもあるため、裁判所の窓口に話を聞きに行くことが確実です。

調停では何をするの?

 あなたの話と、相手方である配偶者の話の両方を、調停委員が聞きます。

 調停委員は、お互いの話を聞き、お互いの意向を確認しながら、相互に合意できる部分がないかを模索していきます。

 また、並行して、財産分与や、その他について争いがあるのであれば、資料の提出を促して整理したり、お互いが納得できない点を整理して、問題を明確にしていきます。

 そのような過程を経て、話し合いで合意できないかを探っていくことになります。

どのぐらい時間がかかるの?

 普通、離婚調停は、1回あたり、2時間程度行います。1回では終わらないので、1か月後をめどに、次回の離婚調停の日程を決めます。

 早ければ3回目ぐらいで終わることもありますが、財産が多い、子どものことでもめているなどの場合には、相当程度かかる場合もあります。

離婚調停の終わり方

合意できたらどうなるの?協議書を作成するの?

 離婚調停の中で、お互いが合意できると、裁判所は、合意した内容を文書にまとめます。これを調停調書といいます。

 調停調書に書かれたことは、判決と同等の効力を持つため、別にお互いが離婚届けに署名押印する必要はありませんし、離婚協議書を作成する必要もありません。

 離婚の届け出は、どちらか(通常は戸籍を抜ける方)が、調停調書をもって市役所へ行き、その場で離婚届けの必要な部分を記入すれば受理されます。

 この場合は、裁判所が認めた調停調書があるため、通常の離婚の手続きに必要な、夫婦二人の署名押印は必要ありません。

合意できなかったらどうなるの?ずっと続くの?

 話し合いを続けても、合意ができず、合意する見込みもない場合には、離婚調停は終了となります。

 離婚したい方は、別に裁判を起こす必要があります。

実際に離婚調停を行う

離婚調停の当日の持ち物

 当日は、本人確認のため、身分証明書を持参してください。

 その他、ご自身のご事情を説明するための資料をお持ちいただくと、話しやすいと思います。

 裁判所へ提出しようと考えているのであれば、ご自身のお手元に保管用の1部と、裁判所と相手方へ渡してもらうための写し(コピー)を2部持っていくと、手続きがスムーズに進みます。

 事前に読んでもらいたい資料があれば、コピーを裁判所に送付しておくこともできますが、相手方に閲覧される可能性もあるため、ご注意ください。

服装について

 当日、何を着て行けばいいのかわからない、という不安を持たれる方もいらっしゃいます。

 基本的にはどのような格好でも大丈夫ですし、あまり神経質にならないようにお伝えしています。

 ご不安に思われる方には、男性であればスーツかジャケットの着用を進めています。女性の場合には友人と街に出かけるぐらいとお話ししています。

 さらに戦略的に服装を選ぶなら、調停委員にいい印象を与えることを目的に、服装を選ぶこととなります。

 男性の方には、とりあえずスーツで来てください、とご説明している弁護士の方もいらっしゃいますが、どのような印象を与えたほうがいいかは、調停で話しあいのポイントとなる部分との兼ね合いで決めないといけないと考えています。

 そのため、私は、お客様の性格や、問題となる点を想定したうえで、よい印象を与えるための服装をご提案しています。

離婚調停では何を話せばいいの?

 離婚調停では何を話せばいいの?ということが気になる方もいらっしゃると思います。お話すべき内容は、大きく分けて二つあります。

離婚調停に至るご事情を説明し、理解してもらう。

 離婚調停になっているということは、これまでの夫婦生活に関する不満などがあり、離婚についてお互いに納得できない点があるのではないでしょうか。

 まずは、調停委員が、全体像を把握する手助けをするために、ご事情を説明することが必要です。

 例えば時系列をまとめたメモや、離婚に至る理由をまとめたメモをあらかじめ作成し、そのメモに基づいて説明する、ということでもいいと思います。

離婚調停で求めたいことを伝える。

 離婚調停で合意をするために、まずはお互いに自分が考える条件を伝える必要があります。

 まずは、ご自身が考える、離婚の条件をお話ししましょう。

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相手の主張を聞き、相手のことを理解するよう努める。

 相手の主張は、調停委員を通じて、こちらに伝えられます。これに対して、頭ごなしに否定をしたり、相手の主張を全く受け入れないという姿勢を貫くことは、調停委員に良い印象を与えず、また調停での合意に遠のいてしまうことになります。

 相手の言い分を受け入れたり、相手の主張を飲む必要はありませんが、調停委員の話に耳を傾け、理解するよう努めるという姿勢が大切です。

弁護士を依頼するメリット

 しばしば、調停は、お互いにポイントを押さえた話ができず、話がまとまらない、進まないといったことが生じる場合があります。

 ケースによっては、 調停委員が話を聞いてくれない、 調停委員に強く言われて、自分の意思と異なる方向で話が進んでしまった、と相談にいらっしゃる方もおります。

 弁護士に依頼することで、事前に十分に打ち合わせをして言いたいことを弁護士と相談しながら整理することができます。

 それを踏まえて、弁護士とともに調停に出席して、ポイントを押さえた話を調停委員にします。

 その結果、ご自身の意見を調停委員に上手に伝えることができ、希望を聞き入れてもらいやすくなることが、弁護士を入れる最大のメリットであるといえます。

まとめ

 以上、離婚調停についてまとめました。

 ここで書ききれない離婚調停に関するノウハウや、それぞれのケースでの対処法など、個別のケースでの離婚調停を知りたいのであれば、60分無料法律相談を実施しておりますので、あいなかま法律事務所へご相談ください。

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