離婚した場合の名字、戸籍はどうなるの?

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 離婚した場合に、決めなければいけないことが、名字や戸籍です。

 子どものこともあるから、職場のこともあるから、名字をどうしようかというのは、離婚される方の大きな悩みでもあります。

 そこで、離婚と名字、戸籍について、ご説明します。

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名字、戸籍のルール

 以下では、大枠のルールをご説明します。

結婚の際の戸籍

 独身の方は、通常、親の戸籍に入っています。結婚により、親の戸籍から抜けて、新しい戸籍が編纂(作成)されます。

 この際に、夫と妻のどちらを筆頭者とするか=どちらの名字にするかを選択します。

 ただし、再婚などで、すでに親の戸籍から抜けている場合などで、その方の名字にする場合には、新しい戸籍は編纂されず、すでにある戸籍にはいります。

第十六条 婚姻の届出があつたときは、夫婦について新戸籍を編製する。但し、夫婦が、夫の氏を称する場合に夫、妻の氏を称する場合に妻が戸籍の筆頭に記載した者であるときは、この限りでない。

2 前項但書の場合には、夫の氏を称する妻は、夫の戸籍に入り、妻の氏を称する夫は、妻の戸籍に入る。

戸籍法

離婚の際の戸籍

 離婚の際には、筆頭者でない方が、その戸籍から出ていくことになります。

 出ていく先は、婚姻前の戸籍か、新しい戸籍となります。

  第十九条 婚姻又は養子縁組によつて氏を改めた者が、離婚、離縁又は婚姻若しくは縁組の取消によつて、婚姻又は縁組前の氏に復するときは、婚姻又は縁組前の戸籍に入る。但し、その戸籍が既に除かれているとき、又はその者が新戸籍編製の申出をしたときは、新戸籍を編製する。

戸籍法

 ただし、離婚後も婚姻期間中の名字を名乗る場合には、新しい戸籍を作成することとされています。

子どもの戸籍と名字について

 子どもの名字は、離婚しても、手続きを取らなければ変更されません。そして、子どもの名字を変更するためには、裁判所に子の氏の変更許可申し立てをする必要があります。

 親権者でいっしょにくらしているのだから、子どもの名字も離婚とともに変更される、と思われている方は、注意が必要です。

理解にあたってのイメージ

 私は、弁護士になりたての頃は、戸籍の制度がよくわかりませんでした。そこで、私が理解するときに用いたイメージをご説明します。理解のためのイメージということで、やや大雑把なご説明となりますが、ご容赦ください。

 戸籍は、「筆頭者○○というラベルの付いた箱」で、その中に人が入る。入っている人は、名字(氏)が筆頭者○○と同じになる。

 戸籍は親子2代(両親と子ども)しか入れず、子どもが新しい家庭を持つと、新しい箱(戸籍)を作り、そこに入ることになる。

 上記のイメージだと、例えば、筆頭者の方がなくなっても戸籍は残る、離婚しても、子どもの名字は自動的に親権者の名字とならない、離婚後も婚姻時の名字を名乗り続けるためには、昔の戸籍に戻るのではなく新しい戸籍となる必要がある、といったルールが理解しやすいのではないかと思います。

戸籍と名字(氏)

 これまでの記載や、色々なサイトで、戸籍と名字の話が出てきて混乱するかと思いますが、大枠でいえば、同じ戸籍の中に入っている方は、同じ氏である、と理解しておけば、日常生活では間違いないです。

 厳密には、民法上の氏と呼称上の氏(戸籍上の氏)の2つの概念があります。

まとめ

 まとめると、

 結婚すると新しい戸籍を作って、そこに夫婦で入る。

 離婚すると、筆頭者でない方が出ていく。

 子どもを移動させたければ、裁判所の許可が必要。

 この3点です。