不倫慰謝料請求が時効になる?時効ギリギリの慰謝料請求の対処法

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 不倫慰謝料を請求しようと思ったら、時効で請求できなかった、時効ギリギリだ、というケースをたまに見かけます。

 本来であれば請求できるのに、請求しないで終わってしまってはもったいない、ということで、不倫慰謝料請求の時効や、時効ギリギリの場合の対処法をご説明します。

 民法改正により、令和2年4月1日から時効に関するルールが変わりますが、改正前の情報に基づいて記載します。

不倫慰謝料請求の時効は3年

時効の規定

 不倫慰謝料請求の時効は3年です。詳しい方は、除斥期間などをご存じと思いますが、ほとんどの不倫の慰謝料のケースでは想定できないばあいであるため、省略します。

 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。

民法724条前段

いつから3年と考えればいいか。

法律上の規定

 3年を数え始める時期(起算点)は、不倫があったことを知ったときからです。

 2018年5月まで不倫していたことを、2019年3月に知った場合、時効は2022年3月まで、となります。

離婚してから3年?

 配偶者に対して不倫の慰謝料を請求する場合、不倫を原因として離婚した場合には、離婚から3年間は慰謝料を請求できると考えられています。

 しかし、先日ニュースにもなった最高裁判決で、不倫慰謝料と離婚慰謝料を区別して考えるという考え方が示されたため、注意が必要です。

 配偶者ではない不倫相手に対する慰謝料請求は、離婚してから3年とは考えられておらず、不倫があったことを知ったときから3年となりますので、注意が必要です。

知ったときの証明は難しい場合がある。

 とはいえ、いつ知ったか、を証明することは、簡単ではありません。

 不倫の事実が写真やメールなどで証明できる場合には、不倫があった日の証明は行うことが可能ですが、そのことを知った日を証明する資料があるとは限りません。

 そのため、不倫慰謝料請求では、不倫が最後に行われたことが証明できる日から3年以内と、まずは考えておく方がいいといえます。

時効の効果

 3年が経過し、時効が成立すると、不倫の慰謝料を請求することができなくなります。

 厳密には、時効期間が経過したうえで、相手が時効を援用(時効だから支払わない)と主張した時点で、時効の効果により債権が消滅します。

時効にしないためには、3年以内に何をすればいいのか。

 3年以内に裁判を起こして慰謝料を請求することで、時効を中断することができます(民法147条)。

 気が付いたのが2年11か月で、3年以内に裁判を起こすことがどうしても難しい、という場合には、支払いを求める催告(民法153条)をすることで、6か月だけ時効を伸ばすことができますので、その間に裁判を起こします。

 上記催告は、請求した事実や請求した日付を証拠とするため、内容証明郵便で送付します。

よくある失敗例

 不倫の慰謝料を時効にしてしまいがちなケースは、以下のようなケースです。

 配偶者の不倫が明らかになったので、離婚することにした。不倫相手もわかっているのだけれど、まずは配偶者との離婚を解決してから不倫相手に慰謝料を請求しようと考えていた。思ったより、配偶者との離婚の話し合いが長引いたため、離婚したときには3年を経過してしまった。

 上記のように、配偶者との離婚の話し合いが終わったのちに慰謝料を請求しようと考えていると、離婚の話し合いが長引き、時効になる可能性が出てきます。

 そのため、配偶者との離婚を先にすませようと考えている場合には、時効にならないよう注意が必要です。

まとめ

 後で請求しようと思っていたら、時効になってしまい、請求できなくなってしまった、ということがないように、どのタイミングで慰謝料を請求するかを、きちんと考えて進めることが大切だといえます。

 弁護士と相談しながら、不倫の慰謝料を請求する一番いいタイミングを考えていくことが大切です。