こっそりと不倫の証拠写真を確保。これっていいの?

この記事を読むのに必要な時間は約 3 分です。

ケース

 A女さんは,夫のB男さんがC女さんと不倫しているとの情報を得たため,休日にこっそりB男さんの後をつけたところ,B男さんとC女さんがラブホテルに入っていく現場を目撃したため,これを写真に撮影しました。

 のちに,A女さんがB男さんに,写真を証拠として突きつけて問い詰めたところ,B男さんから,隠し撮りした写真は違法だから証拠にならない,と言われました。

 A女さんは,実際にどうなのかわからず,弁護士に相談することにしました。

不倫の現場を押さえた写真

 不倫の証拠を集めるため,冒頭のAさんのように,配偶者と不倫相手が一緒にいるところを撮影したり,探偵に撮影などを依頼することを検討することがあると思います。

 では,こっそりと写真を撮影することに,何か問題はないのでしょうか。

裁判で使えない証拠?

 裁判では,証拠に基づいて,何が事実かを裁判官が判断します。証拠がなければ客観的事実が裁判所にわからないため,証拠は非常に重要なものとなります。証拠が重要であることから,もし,どのような証拠でも利用できるということになれば,不当だったり違法だったりするあらゆる手段を使用して,証拠を集めるということになりかねません。

 実際,不倫の問題ではありませんが,過去には,証拠を捏造したという事件が起こったことがご記憶にある方もいらっしゃると思います。

 そこで,裁判所は,証拠の収集の仕方に社会的にみて相当性を欠くなどの反社会性が高い事情がある場合には,証拠の申し出を却下する=(裁判所が証拠として扱うことを認めない)ことがあります。

写真撮影

 そこで,写真の隠し撮りはどのように考えられているかですが,過去の裁判例に照らすと,人が出入りできる場所において,尾行や張り込みをした上で,これを証拠として扱うことは反社会的とはされていないと考えられます。

 これに対して,相手の家に侵入し隠しカメラを設置した,などのケースでは,侵入自体が違法と評価され得ますので,これを証拠として扱うことも認められないと思われます。

参考記事 どのような写真が不倫の証拠になりますか。

秘密録音

 配偶者が普段使用している車にボイスレコーダーをつけて,車内の会話を録音し,その足取りをたどったケースもよく聞きます。

 これについても,反社会的な手段は言えないとして,証拠として扱うことを認めた裁判例があります。

 上記についても,配偶者であり日常的に車の中に入る関係があったから許されたものと思われますので,例えば,第三者の車に勝手にボイスレコーダーを設置した,などのケースでは,反社会性が高いとして認められない可能性も十分にあると考えられます。

証拠収集に向けて。

 上記の通り,どのようなものが証拠として用いられるかについては,難しい判断を求められる可能性があります。せっかく集めた証拠が無駄になってしまった,ということがないよう,証拠集めを行う際は,事前に弁護士にご相談した方が良いといえます。