個人情報の削除に関する法律のルールを考える。

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インターネット上への個人情報の書き込み

 例えば,腹が立った相手の名前,住所,電話番号等連絡先を書き込んだりされるなど,インターネット上に個人情報が書き込まれてしまうことがあります。

 そこで,個人情報の削除に関して,その法律のルールをご説明します。

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個人情報とプライバシーの権利

プライバシーの権利とは

 個人情報が自分の意思に反して書き込まれてしまったことは,いわゆるプライバシーの権利の侵害にあたります。

 裁判上は,プライバシーの権利とは,「私生活をみだりに公開されないという法的権利または利益」という形で定義されます。

 例えば,自分の住所や電話番号は,友人や会社は知っていると思いますが,自分の嫌いな人には教えたくなかったり,まして知らない人に知られてしまうことは,気味が悪いと感じると思います。

 プライバシーは,このような私生活を,みだりに公開されない権利を指します。

プライバシーの権利の判断基準

 では,プライバシーの権利には,どこまでの情報が含まれるのでしょうか。

 例えば,住所や電話番号は,明らかにプライバシーにあたりそうだと考えられるかもしれませんが,「背が高い」や「背が低い」はどうでしょうか。「(男性だけど)身長が160cmである」などの事実はどうでしょうか。

 そこで、個々の情報がプライバシーにあたるかについて、裁判所は,概ね3つの基準を立てて判断しています。

 とはいえ、一般の方で、書き込まれたらいやだと感じる情報は、おおむねプライバシーに該当し、書き込まれた場合には削除が可能と考えてよいといえます。

 詳細については,別の項目で述べたいと思いますが,裁判所は,難しい事案については,個別にプライバシーへの該当性を検討した上で判断する傾向にあります。

私事性があること

 私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあることがらであることをいいます。

 多く問題となるのは,公務員や会社代表者など,社会的地位のある方に関する事実です。

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秘匿性があること

 一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められることがらであること,換言すれば一般人の感覚を基準として公開されることによって心理的な負担,不安を覚えるであろうと認められることがらであることをいいます。

非公知性があること

 まだ一般に知られていないことが必要です。

プライバシーについての記載であっても削除できない場合

 一般の方に関して問題となることは多くありませんが,公益性が高い内容に関する記載の場合には,プライバシーについて書かれていても,削除できない場合があります。

  例えば,公職者(議員)などに関する私生活上の一定の情報については,その内容によっては,公益性が高いことから,違法ではなく,削除は認められないとされる場合があります。

 このような場合には,公表されない権利と,公表されることによる社会的な利益を比較衡量して決することとなります。

プライバシーに関する書き込みの削除は,弁護士へご相談ください。

 上記の通りであり、通常のケースでは、個人情報の削除は認められる場合が多いといえます。

 ただし、一部、削除が認められるか難しい事案もございますので,一度弁護士へご相談ください。