自社の口コミに嘘の内容を書かれたのですが,削除できますか。

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口コミと名誉毀損

 今は,お客様が商品を買ったりサービスを受けたりする前に,インターネットで評判を調べてから買うかどうか決める方が増えてきました。

 これに伴い,インターネット上の口コミが,ビジネスに重要な地位を占めるようになりました。

 ところが,口コミの中には,実際に商品を買っていないのに商品に関する誤った内容が書かれたり,サービスと直接関係のないところで嘘の内容や、悪い評価をされてしまっているようなケースがあります。

 上記のような場合,削除請求はできるのか,うその内容や悪い評判を書かれた場合を例に考えてみます。

参考記事 インターネット上の掲示板に意見、感想が書き込まれた場合の裁判所の考え方。

削除できるかは,内容次第

 結論から述べると,削除できるかどうかは内容次第となります。

個人的な感想にとどまる場合

 例えば記載された内容が,高い,まずい,品質が悪い,など,個人の意見にとどまるような場合で、事実関係について記載がない場合には,削除が認められない可能性が高いといえます。

 これは、単なる感想は、原則として名誉毀損に該当しないと考えられているためです。

事実が書かれている場合

 これに対し,例えば国産ではなく外国産の材料を使っていて,まずい,しているなど,具体的な事実関係についてまで言及がある場合を考えてみます。

 この場合には,さらに,書かれた内容が事実かどうかで分かれます。

 内容が虚偽である場合には,削除が認められる場合があります。

 これに対して、書かれた内容が真実である場合には、論評としてあまりにも過剰であるなどの事情がない限り,削除することは難しいといえます。

参考記事 本当のことでも名誉毀損になる?

口コミの削除が難しい理由

 上記を見ていただき,口コミの削除は難しいと感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 裁判所の考え方として,消費者の生活に資する有益なものであるという考え方が背景にあるようです。

炎上のリスク

 また,削除請求をする場合には,いわゆる炎上のリスク等についても考慮する必要があります。

 ここで,ネット上の炎上とは,「インターネット上において、不祥事の発覚や失言・詭弁などと判断されたことをきっかけに、非難・批判が殺到して、収拾が付かなくなっている事態や状況。」を言います。

 削除しようとしたことで,逆に炎上してしまう可能性もゼロとはいえませんし,都合の悪い口コミが削除されたとの印象を与えて,その旨の記載がなされてしまう可能性もありますので,この点も踏まえた検討が必要となります。