意見や感想が事実と異なる!削除できるかどうか知りたい。
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意見や感想が削除できるか。
例えば,「おいしい」,「まずい」といったものや,費用が「高い」など,客観的な事実について言及しているものではなく,利用者の感想として書き込まれているケースがあります。
これらの感想が口コミに書かれると、営業上大きな影響がある場合があり、なかには、事実と異なる内容が記載されることもあります。
この場合、感想に過ぎないので削除できないのか、それとも感想でも削除ができるのか、ということを解説します。
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意見は削除しづらく、事実は削除しやすい。
裁判所のいい方はややわかりづらいのですが、非常に単純化すると、意見は削除しづらいが、根拠となる事実は削除しやすいと大枠で整理できます。
それは、個人の意見は、一般の閲覧者がこれを見たときに、個人的な意見を述べたものにすぎず、一般の方はこれを1人の意見としてしかとらえないので、これをもって社会的評価を低下させたとまではいえないと裁判所は考えているからです。
そもそも意見なのかどうか。事実と意見の区別
実際には、意見と事実はよく混合されます。ちなみに、法曹界では、事実と評価(意見)をきちんと分けましょうということが一般に言われ、弁護士もこれに従っているはずなのですが、それでも多くのケースで事実と評価は極めて混同されて主張されます。
事実か意見かは,「証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項」かどうかによって判断されます。以下で混合される(もしくはされていると思われる)例を見てみましょう。
「まずいラーメン」と「ぬるいラーメン」を考えてみます。
このうち、「まずいラーメン」は、個人の味覚にかかわる部分なので、意見と考えられます(10人中10人がまずいと思うラーメンは、もはやまずいが事実とも思えるのですが、裁判所がいう「証拠等をもってその存否を決する」ことができないので、一応意見ということにしておきます)。
では、「冷たいラーメン」はどうでしょうか。
「冷たい」も、意見のようにも思えますが、ラーメンであれば、適切な温度があり、この温度を大きく下回るものを「冷たい」と表現するでしょう。
そうだとすれば、「冷たいラーメン」は、「証拠等をもってその存否を決する」ことができるとされる可能性があります。実際には、その前後の文脈などを合わせて考えることになります。
意見と、根拠となる事実
また、多くの意見は、根拠を伴います。例えば、「麺が伸びていて、冷たくて、まずいラーメン」との指摘は、面が伸びていたという事実を含みます。裁判所は,以下のように,その感想を持った根拠について、事実を摘示していると考えられる場合があるとしています。
単に料理が「まずい」か「うまい」かだけを述べるであれば,それは個人的な味覚等に基づく意見を述べるものにすぎず,事実を摘示してそのレストランの社会的評価を低下させるものとはいえない。しかし,その者が,「まずい」とする意見の根拠として,そのレストランで用いている原材料が悪いとか料理人の腕が悪いなどと述べることは,単なる意見の陳述にとどまらず,事実の摘示に該当することになる。
東京高等裁判所判決平成22年11月24日判例秘書L06520783
そして、事実の摘示にあたる場合には、社会的評価が低下する、と考えています。
どのような意見なら削除できるのか
商品,サービスに対する意見にとどまる場合
名誉毀損は,対象となる人に対してされた場合に成立することから,たんに商品やサービスに対する言及にとどまる場合には,名誉毀損とはなりません。
ただし,商品やサービスに対する言及であっても,その商品やサービスを提供する会社や個人へ向けられたとされる場合があります。
https://ai-nakama.com/2019/04/17/誰の名誉が毀損されたのか%E3%80%82/
単なる感想にとどまる場合
裁判所は,単なる感想にとどまる場合には,個人的な意見であり,一般の読者の注意と読み方では,そのような感想を持ったものがいるとしか読まれないため,これにより社会的な評価が低下するとは考えていないようです。
また,医療機関の口コミについてですが,ある程度具体的な事実関係について言及されていたとしても,これが非常に重要な情報であること,医療機関が広告をしていることからすれば,社会的に受忍すべきであるとして,社会的評価が低下しないと判断したものがあります。
医療は身体への侵襲を伴う高度に専門的なサービスであるから,歯科医院等の医療機関の口コミは,これから医療機関を選択しようとする患者にとっては非常に重要な情報であるといえる。加えて,債権者は,自ら債務者の提供するサービスに登録して,本件サイト上に本件歯科医院の情報を表示させて広告を行っていることに照らせば,債権者は,たとえ本件歯科医院について否定的な評価を行う投稿であっても,当該投稿の内容及び態様が社会的に相当な範囲内にとどまるものである限りは,一定限度の社会的評価の低下も受忍すべき立場にあるといえる。
東京地方裁判所決定平成30年6月12日判例秘書L07330401
感想の表現が強い場合には,削除できる場合がある。
裁判所は,口コミについて,根拠を指摘しながら「誇大広告だ」と言及したものについて,社会的評価を低下させるものと一応いうことができると判断しました(ただし,結論として発信者情報開示請求を否定)。
単なる誹謗中傷の場合
また,感想,意見を超えて,単なる誹謗中傷にあたる場合には,社会的評価を低下させると指摘するもんがあります。
例えば,「〇〇の恥」という表現が, 指摘された者を非難し,その人格を攻撃するものであって,社会的評価を低下させるとしたとする裁判例があります。
ただし,このような場合には,名誉毀損より,名誉感情侵害とも考えられる点に注意が必要です。
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とりあえずの結論
意見や感想として書かれている場合であっても,名誉毀損に当たる可能性があります。
これについては,述べたとおり,判断が非常に難しい部分がありますので,実際に削除請求をする前に,弁護士へ相談しましょう。
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