モラハラした夫と離婚したい方へ、離婚へ向けたポイントを解説します。
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モラハラを理由として離婚したい、という方からのご相談が、最近非常に増えているように感じます。
自分の気に入らないことがあると怒鳴りだす、少しでも反論すると何倍も言い返されるなどで苦しんで、離婚を決意するという方も多くいらっしゃいます。
そこで、今回は、妻の立場から、夫のモラハラに耐えかねて、離婚を考えている方へ、モラハラした夫と離婚するための方法について、ご説明します。
モラハラについて過去に書いた以下の記事と併せてお読みいただければと思います。
モラハラ以外の離婚に関する情報が知りたい方は、以下からご確認ください。
モラハラした夫と離婚する方法
まずは、モラハラの恐怖から抜け出す方法を考える。
モラハラの被害にあわれて離婚したいと思われた方にとって大切なのは、相手のモラハラを証明することではなく、できるだけ早くモラハラから抜け出すことです。
そのため、モラハラが及ばない状況に自分の身を置くことが、最優先で考えるべきことになります。
モラハラした夫と離婚する場合、モラハラに関する証拠があれば望ましいですが、モラハラに関する証拠を集めるために、つらい同居を継続するのでは、本末転倒といった状況になってしまいます。
モラハラから抜け出すメリット
私は、モラハラで追い詰められていると思われる方には、お悩みをお伺いしながら、まずはゴールである離婚ではなく、第1歩であるモラハラからできるだけ早く抜け出すための方法を一緒に考えて、実践することを進めています。
いったん、モラハラが及ばない状況になれば、落ち着いて離婚に向けた条件や、今後の生活について考えることができるからです。
そのため、あなたが置かれた状況や環境に合わせて、どのように離婚に関する話を進めていくのかを考えることが大切です。
そのため、話のポイントは、モラハラの有無ではなく、離婚するかどうかなのであって、こちらとしては離婚以外は考えていないということを明確に伝えて話し合いを進めることが大切です。
モラハラした夫と離婚する際の不安を解消する。
よく、夫からこんなことを言われて不安、夫がこういう人だから不安、ということをお話しする方がいらっしゃいます。そこで、ここでは、モラハラした夫からいわれた不安な発言に回答します。
「お前から出ていくんだから一円も渡さない。」
似たようなバリエーションに、「離婚には応じるけれど金は払わない」、などがあります。
法律上、夫婦で築いた財産は離婚時に財産分与の対象となり、2分の1ずつとなります。そして、自分から別居したことを理由として、この額が減らされることはありません。
また、子どもがいる場合の養育費についても、自分から別居したことを理由として減額されることはありません。
先ほどご説明した通り、慰謝料はモラハラの証明ができなければ難しいですが、財産分与や養育費がある限り、「1円も払わない」という状況は生じません。
あの人(モラハラした夫)は外面がいい、口がうまいから、うまく言われて離婚できない。
話が上手いので、調停委員がだまされてしまうのではないか、ということを心配される方もいらっしゃいます。私も、直接話をしに行く前に、話が上手いので注意してください、といわれることがあります。
しかし、実際に話をしに行って、少なくとも離婚に関する話し合いについて、話が上手いと感じたことはありません。
また、私が入った調停で、モラハラした夫の言い分がすべて認められたかのような進行になったこともありません。
調停の中でのモラハラした夫が、反省しているのでやり直したいなどと調停員へ伝え、調停委員から意向を確認されたとしても、その反省自体が、モラハラした夫にありがちな話であり、やり直す気はないときちんと伝えることが大切です。
モラハラを証明できなくても離婚できる。
夫がモラハラであることを証明しないといけない、録音をきちんととっているわけではないし、証明できないから離婚できないのではないか考えられている方もいらっしゃると思います。
離婚したい、というだけなら、モラハラを証明する必要はありません。話し合いで合意し、または離婚調停で合意すれば離婚できます。
裁判をせずに離婚できるため、裁判をするケースに比べると早期に離婚が可能となり、また財産分与や養育費等についてはきちんと支払いを受ける合意をすることが可能です。
そのため、モラハラの証拠が少なくても、あきらめずにまずは弁護士へご相談ください。
モラハラした夫との離婚の話し合いや調停における主張の仕方
離婚が話の中心であることをはっきりと示すこと
モラハラで離婚したいと思った場合、一方ではモラハラを主張しつつ、他方ではモラハラに関わらず離婚したいという意思を示すことです。
モラハラした夫との話し合い・調停が進まないよくあるケース
モラハラした夫との離婚に関する話し合いを、弁護士に依頼せずに進め、離婚調停をしているけれども、話し合いが進まないのでご依頼を受けた際によくあるケースがあります。
それは、話し合いや調停で、離婚についてではなく、モラハラの有無が中心に置かれてしまい、肝心の離婚の話が進んでいない、細かな事実関係についての話に終始してしまっているケースです。
モラハラした夫は、多くの場合、夫にモラハラの自覚はなくモラハラを否定する、モラハラではなく「教育」だなどと自分の行動を正当化します。
話し合いの場でも、離婚についての話ではなく、自分がモラハラをしていないということを話の中心に起きたがります。
その結果、調停委員もモラハラした夫の話に根負けし、モラハラの有無をポイントとして調停を進めてしまっていることがあります。
モラハラした夫の交渉における考え方
私が見ているところ、モラハラした夫のよくある思考パターンは、以下の2つです。
「モラハラしたと言いがかりをつけられている」→「モラハラしていない」→「離婚する理由はない」or「お金(財産分与)を払う必要はない」と考えているパターン。
本題に関係ない発言の一部をとらえてこれに過剰に反応し、強く出ることで、話し合いを自分の有利に進めようとしてくるパターン。
本当に話し合うべき問題は、離婚するかどうか
本当の問題は、離婚するかどうかにあるはずです。
そのため、話し合いや調停では、モラハラを主張することはもちろんですが、話し合いたいことは離婚に関してだ、ということをはっきりとさせることが大切です。
モラハラした夫と離婚したい場合に弁護士を入れるべき3つの理由
私は、モラハラした夫との離婚では、弁護士を入れたほうがいいと考えています。
1 直接話をしないようにするため。
モラハラの被害者の方は、これまで、モラハラした夫から苦しめられてきました。いざ、離婚しようと思っても、モラハラした夫への恐怖や、モラハラした夫が正しいのではないかとの思い込みから、うまく話ができないまま、言い含められてしまう危険性があります。
弁護士を間に入れて、直接話をせずに、弁護士から話の内容を聞き相談しながら進めることによって、モラハラした夫の発言を客観的に聞くことができ、また、本当のことは何なのかを、弁護士に確認しながら進めることができます。
2 話し合いの窓口にするため
モラハラした夫からとにかく逃げたいと思い、別居したのち、連絡が全くつかない状況になると、モラハラした夫は、両親や職場、友人知人に連絡して、行方を捜そうとする場合があります。
周りの、迷惑になってしまうことから、別居をためらう方もいらっしゃるかと思います。
弁護士に依頼し、すべての連絡は弁護士にするように、と別居の際に連絡して、もし、モラハラした夫から両親などへ連絡が来ても、「当人同士の話だから弁護士と話すように」と伝えてもらうことで、周りへの迷惑を最小限にして離婚の話し合いを進めることができます。
3 お金のことをきちんとするため
モラハラした夫は、自分のお金は自分だけのものである、という意識が非常に強い傾向にあります。そのため、特に財産分与に対して、強い抵抗を示します。
財産分与をきちんとするためには、話し合いを始める前から、弁護士と相談しながら進める方がいいといえます。
モラハラした夫と離婚したい方へ
先ほどご説明したように、モラハラした夫と離婚を考えているのであれば、弁護士へ依頼した方がよいと思います。
まずは、一度、弁護士とご相談し、今後の方針を決められるのがよいと思います。