離婚したい、離婚の原因になった5つの理由とその後の流れ。
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離婚したいと思っている方は、色々なお悩みを抱えています。
こんな理由で離婚を決意していいのか。
子どものためには離婚しない方がいいのではないか。
どうしたら離婚できるか。
離婚した後の生活が心配。
などです。
離婚というと親が心配するかもしれないから相談できない、友人にも相談しづらいなどで、悩みを話すこともできず、一人で抱え混んでしまっている方もいらっしゃると思います。
そこで、以下では、私がこれまでお伺いしてきたお話やいろいろな方の体験談をもとに、離婚の理由、離婚したいと思ったきっかけは何なのかを私なりにまとめてみました。
その上で、離婚したいと思ったら考えてほしいことや、離婚するまでの流れを解説しています。
離婚したい、離婚のきっかけになった5つの理由
不倫が理由で離婚したい。
ご相談にいらっしゃる方に限って言えば、離婚したいという方の多くは、配偶者の不倫がきっかけです。
それまでも、色々と我慢してきたのですが、不倫が発覚したことをきっかけに、離婚をしたいと強く思うようになり、弁護士へご相談という流れが多いと思います。
精神的に追い詰められたこと(精神的DV)が理由で離婚したい。
精神的に追い詰められてしまった、ひどいケースではモラハラや精神的DVにより離婚したいと思ったという方も多くいらっしゃいます。
イメージしやすい例としては、妻側のご相談者で、夫側はお名前を聞くとわかる会社に勤めているパターンです。
このパターンは、妻側としては、何か大きなきっかけがあったというより、日々の出来事の延長線上で生じた出来事をきっかけに、離婚したいと思った、というケースが多いといえます。
実際には、夫側が妻に追い詰められてしまったというケースも多く、夫としては手は絶対に出せないが、毎日いろいろといわれたり、洗濯もしてもらえない、というようなケースまであります。
浪費、ギャンブルが理由で離婚したい。
夫や妻の借金が発覚したことをきっかけに、離婚したいと考える方は多いようです。
離婚するきっかけになることもあれば、子どものこともあるので夫婦で借金を何とかする方法を求めて弁護士のもとにご相談にいらっしゃるケースもあります。
ただ、弁護士へご依頼まで進むかというと、借金が多くて財産分与が見込めないなどの理由から、ご相談のみで終わり、後はご自身同士で離婚するケースも多いといえます。
DV(暴力)が理由で離婚したい。
暴力がきっかけとなるケースも多くあります。
これも、一度の暴力というよりは、長年にわたり暴力を受けてきた上で、大きな事件をきっかけに離婚したいと強く思うようになった、というケースが多いといえます。
価値観が違うこと(性格の不一致)が理由で離婚したい
先ほどの精神的に追い詰められる、というケースではなく、価値観が違うというケースは、事例としてはお伺いします。
例えば子どもに対する考え方や、実家に対する考え方などです。
大きなけんかや、逆に何度も話してもきちんと答えてもらえなかった、といったことがきっかけになるようです。
ただし、私のところへご相談にお越しいただくケースはそれほど多くなく、当事者どうしで話し合い、離婚しているのだと思います。
裁判所の司法統計からみた離婚原因ランキング
裁判所に離婚調停を申し立てる際、離婚したいと思った理由をチェック式で申告します(複数選択可能)。
チェック欄には、以下の理由が記載されています。
- 性格が合わない
- 異性関係
- 暴力をふるう
- 酒を飲みすぎている
- 性的不調和
- 浪費する
- 病気
- 精神的に虐待する
- 家族をすててかえりみない
- 家族と折り合いが悪い
- 同居に応じない
- 生活費を渡さない
- その他
そして、実際に裁判所へ申告された理由のトップ5は、年度によって若干ばらつきはありますが、おおむね以下のとおりとなっています(平成29年度司法統計 婚姻関係事件数 申立の動機別)。
夫の離婚理由
- 性格が合わない
- 精神的に虐待する
- 異性関係
- 家族親族と折り合いが悪い
- 性的不調和
妻の離婚理由
- 性格が合わない
- 生活費を渡さない
- 精神的に虐待する
- 暴力をふるう
- 異性関係
内容について
上記のとおり、トップの理由は性格が合わないです。妻側の生活費を渡さないは、精神的に虐待すると併せていわれる印象です。
夫側の精神的に虐待するという理由は、家族と折り合いが悪いとセットでいわれることも多く、もともと妻がきつい性格で結婚生活がつらかったが、夫側の家族との集まりでの出来事をきっかけに、離婚を決意したという話はよく聞きます。
なお、司法統計の離婚原因の統計の取り方は、やや特殊であり、必ずしも実態を十分に把握しているとはいえない面もありますので、気になる方は、司法統計の離婚原因の読み方についての以下の記事をご参照ください。
離婚したいと思ったら考えてほしいお金のこと
離婚したいと思ったときに考えることのひとつに、離婚にあたってかかる費用や離婚後の生活費など、お金のことがあると思います。
そこで、離婚に関わるお金をまとめて説明します。
別居後、離婚までにもらえる婚姻費用
離婚のために別居してから離婚するまでの間、夫婦の生活費を受け取れる場合があります。これを婚姻費用といいます。
別居後の生活を支えるお金になりますので、きちんと請求した方がいいお金です。
離婚後にもらえる養育費
子どもがいらっしゃって離婚する場合、子どもの生活費として、養育費を受け取れます。
子どものためにも、毎月きちんともらった方がいいお金です。
ここまで、婚姻費用や養育費については、裁判所が作成した算定表が目安となりますので、こちらからご確認ください。
財産分与
離婚の際に、夫婦が築いた財産を、二人で分けることになります。これを財産分与といいます。
現在は、どちらが働いていた、どちらの方が収入が多かったということを考慮せず、結婚から離婚(別居)までに夫婦でためたお金を、半分ずつにするのが原則です。
きちんと貯金している家庭や、熟年の家庭では、思わぬ高額になることもしばしばあります。
慰謝料
不倫などが原因で離婚する場合、慰謝料を請求できます。
不倫のほか、DVなどでも慰謝料が請求できる場合があります。
金額は、数十万円から数百万円が多く、何が理由で離婚したのかによって変わってきます。
年金分割
離婚した際に、夫婦が婚姻期間中に加入していた厚生年金の保険料を分割する制度です。
老後の生活まで考えた際に、非常に大切な制度になりますので、離婚時に忘れずに手続きをした方がいいです。
その他公的扶助
その他、児童扶養手当や様々な女性が受けられる場合があります。
離婚したいと思った場合の離婚までの流れ
以下では、離婚したいと思った場合の、離婚までの流れをご説明します。
話し合いで離婚する(協議離婚)
多くの家庭で、まずは夫婦で離婚について話し合っています。
話し合いの結果、お互いで納得できる内容になれば、あとは、市役所でもらえる離婚届に双方が署名押印し、必要事項を記入して提出します。
この際、お互いが決めた離婚にまつわる条件についても、離婚協議書を作成して、お互いに署名押印しておいたほうが、後にトラブルを避けられる可能性があります。
調停で離婚する。
夫婦の話し合いで離婚できない場合、裁判所に間に入ってもらい、裁判所で話し合う、離婚調停の手続きが利用できます。
調停では、裁判所の調停委員が双方の話を聞いて、離婚できるかどうか調整します。
お互いが離婚やこれに付随する条件に合意できれば、離婚成立となります。
裁判所が間に入るため、お互い冷静に話が進められ、多くのケースで離婚が成立しています。
裁判で離婚する。
調停でも離婚について合意できない場合、裁判手続きを利用することができます。
裁判では、離婚原因と呼ばれる、法律が定める離婚事由(不倫など)がなければ離婚できません。
裁判で離婚するためには、長期間別居を続けるなどして夫婦の実体を失わせるなど、法律が定める離婚事由に該当するよう工夫が必要となります。
まとめ
幸せな家族はいずれも似通っている。だが、不幸な家族にはそれぞれの不幸な形がある
アンナ・カレーニナ(トルストイ)
アンナ・カレーニナの冒頭の有名な一節で、しばしば引用されるため、ご存じの方も多いと思います。
離婚に関して言えば、離婚を決意するまでの過程はそれぞれの形がありますが、離婚を決意してから離婚するまでの流れは、似通った流れがあります。
そのため、ご相談いただければ、解決のための道筋をご提示できると思います。
離婚したいと思ったら、60分無料法律相談を実施していますので、あいなかま法律事務所へご相談ください。