不倫する人の心理を考えてみた。
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実は不倫していた、という方が、あなたの身の回りにいるかもしれません。不倫しているんだ、と友人に打ち明けられた方もいらっしゃるかと思います。
実際、不倫してしまう方の心理とはどういったものなのでしょうか。人はなぜ不倫するのでしょうか。
ここでは、ドラマなどで描かれた不倫を題材に、不倫する人の心理を考えてみたいと思います。
育児ノイローゼの妻につかれ、産後クライシスに陥ったため(夫が不倫する理由)
東京タラレバ娘の丸井良男が、不倫した理由です。
私が取り扱った離婚事件や不倫事件でも、多くの夫婦の第一の危機が、第一子を妊娠したころから、子どもが出産してまだ小さい時期です。
育児で疲れた妻は、育児に協力しない夫に不満をため込んでいき、夫は育児ノイローゼで子どもが一番になった妻を受け入れられない。きちんと夫婦で歩み寄りができればいいようですが、受け入れられずにそのまま離婚や不倫となってしまい、ご相談に来たケースは多いといえます。
先ほど挙げた、丸井さんも、「僕が思い描いていた幸せとはいろいろ違った」と語っていますが、これは、典型的なケースといえます。
家庭で男性/女性として扱われなくなったため(男性、女性どちらも)
「失楽園」など、年配の方の不倫が書かれる場合、その根っこにあるのはこの理由と思います。
夫/妻とは不仲ではない、子どもは健康に育って手がかからない時期になっている。周りから見れば何一つ不満はないと思うのだけれど、男性/女性として扱われることはなくなった。
その中で、周りから男性/女性として扱われたことをきっかけに、不倫してしまう。
よくある展開は、同窓会、職場、カルチャースクールなどでの出会いです。
「失楽園」はカルチャースクールでした。「同窓会」というそのままのタイトルのドラマもありました。
実際に取り扱っている事件では、特に、育児に忙しかった妻が、子どもが大きくなって職場復帰したり、生活に余裕が持てるようになったタイミングに集中する印象です。男性側は常に仕事で外に出ているので、この理由で集中する時期は余りありません。
夫/妻より好きな人だから
現代型の不倫といえると思いますが、結婚相手より、もっと好きな人に巡り合ったパターンです。
「あなたのことはそれほど」では、はっきりと、2番目に好きな人と結婚するということが書かれています。
なぜこれを、現代型の不倫というかというと、以下の理由からです。
現代の不倫について、考えてみました。
結婚と恋愛は別といわれるようになった。
近年、結婚と恋愛は違うとはっきりといわれるようになりました。
結婚に関する記事の多くが、結婚と恋愛は違う、と指摘しています。
日本における結婚の歴史を見ると、もともと戦後はお見合い結婚が主流でした。しかし、徐々に恋愛結婚が増えていき、1960年代に恋愛結婚の割合がお見合い結婚の割合を上回るようになります。
これは、ロマンティックラブイデオロギーといわれ、近代家族の形成に大きな役割を果たしたといわれています。
このころも、もちろん結婚相手に妥協はあったとはいえ、少なくとも私は恋愛して大好きな人と結婚したんだ、という思い(いわゆるタテマエ)に基づく結婚だったといえます。
しかし、現在では、恋愛と結婚は違う、と明確にいわれるようになりました。
現代型の不倫と呼んだ理由
これまでの不倫は、配偶者のことが嫌いになった、日常生活に刺激がないなどの理由がありましたが、先ほど述べた不倫には、そういった理由は不要です。
実際、「あなたのことはそれほど」では、主人公の美都は、ただ昔好きだった人と再会して、すぐに不倫したと描かれており、夫に対する不満が不倫の理由となっていません。
理由なく不倫する、というのが、現代型の不倫と呼んだ理由です。
まとめ
ここまで、不倫する理由について、不倫した方の心理をドラマなどを題材に見てみました。
その他の類型についても、今後まとめて追記していきたいと思います。
(追記)近代的結婚と不倫
『結婚扶養社会』(山田昌弘著)に、現代的結婚における不倫の(小説上の)位置づけが書かれていましたので、紹介します。
同書は、近代的結婚では、「結婚は愛情に基づく」という考え方の下で、小説では、「愛情に基づかない結婚をしている人が愛情を求めて不倫する、」との描かれ方がされると整理しています。
これに対して、現代的結婚(結婚は愛情に基づくという信念が崩れ始めているとき)には、「結婚外の性行動だってかまわないじゃないかという確信犯的なかたち」で、不倫する人が増える、と整理されています。
ご紹介した内容でいうと、「あなたのことはそれほど」で描かれている不倫は、まさに現代的結婚における不倫、として整理できると思います。