不倫した相手の収入が多い場合,慰謝料は増えますか。
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ケース 妻の不倫相手が医者だった。
A男さんは,B女さんと結婚していました。最近,B女さんが,仕事が忙しいといって夜遅く帰るようになったり,土日も仕事だといって出かけるようになりました。A男さんは,しばらくはそうなんだろうと思っていましたが,忙しい時期が長期間続くため,不思議に思い,調べてみたところ,B女さんは,元々小学校の同級生だった開業医のC男と不倫をしていることがわかりました。
相手の収入が多い方が慰謝料が取れる?
配偶者が不倫した場合,その相手の地位は様々です。慰謝料を請求する場合,相手の収入が多いのであれば,それだけ多くの慰謝料を取らないと,不倫相手は反省しないのではないか,などとの思いから,多くの慰謝料を取りたいと考える方もいらっしゃると思います。そこで,相手の収入と慰謝料の関係について考えてみることにします。
結論から述べますと,相手の収入が多いことは,慰謝料を増額させる事由にはならないと考えられています。
慰謝料の趣旨
慰謝料は,不倫により婚姻関係が破壊されたことに対する精神的苦痛に対して発生します。そして,不倫相手の収入は,精神的苦痛と直接関係しないと考えられていますので,慰謝料の増額事由にはならない,と考えられています。
上のケースでいうと,B女さんの不倫相手のC男の収入が年収300万円か,3000万円かは,A男さんの精神的苦痛と直接関係がない,というわけです。
ただし,裁判例の中には,相手方の収入を考慮したと考えられるものもありますので,一概に言い切ることはできません。
相手方の職業について
同じ理由により,相手方の職業についても,原則として慰謝料の金額と直接関係を有しないことになります。
ただし,相手方の職業が,高い倫理を求められる職業であったり,信頼関係に基づくものであったのにこれを裏切られたといった事情があれば,慰謝料の増額事由になる場合があります。
上のケースでいえば,C男が,A男やB女のかかりつけ医であり,A男やB女の相談に,医者としてのっていたなどの事情があれば,A男の精神的な苦痛に影響が及ぶため,慰謝料の増額事由になる場合があります。
個別の事情によっては,慰謝料の増額が見込める場合がありますので,一度ご相談した方が良いと言えます。