離婚の原因1位は「性格の不一致」って本当?司法統計の算出方法から考える、本当の離婚の原因。
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離婚の原因について触れられた記事では、よく、司法統計の結果をもとに説明されていることがあります。わたしも、先日の記事で司法統計に触れました。
ご覧いただいてわかる通り、裁判所ホームページから確認できる司法統計の結果(リンク先は平成29年度版 裁判所ホームページより)を見ると、離婚調停の申し立ての動機は、確かに性格の不一致が一番多いことが判ります。ここから、離婚の原因の1位は性格の不一致だといわれることがあります。
しかし、その分析が本当に正しいのか、離婚の原因としては、性格の不一致が多いのだ、といえるのかが、今回のテーマです。
そこで、司法統計における離婚の原因の統計の取り方についてご説明します。
司法統計の調査の仕方
司法統計における申し立ての動機は、離婚調停が申し立てられたものが対象となっています。そのため、そもそも話し合いで離婚したケースは調査の対象になっていません。
そして、離婚のうち、協議で話がつかないケースは全体の1割程度といわれています。そもそもが偏ったデータということになります。
申し立ての動機の数え方
司法統計の申し立ての動機は、「 申立ての動機は,申立人の言う動機のうち主なものを3個まで挙げる方法で調査重複集計した。 」と注意書きがあります。
ここで、元となっている離婚調停申立書のフォーマット(裁判所ホームページより)を確認いただくと、申立書に申し立ての動機に〇をつける欄があることが判ります。
ここでの申し立ての動機は、複数選択可能となっておりますので、申し立てをする方が、ご自身が感じたところのすべてに〇をつけられるようになっています。
そこから、主なものを3個まで挙げる方法で調査をしたようです。
実際、申立の動機のそれぞれの項目の数を合計すると、およそ申立件数の2倍となっています。
申し立ての動機の項目について
裁判所の申立書で、申し立ての動機として挙げられているものは、以下のとおりです。
- 性格が合わない
- 異性関係
- 暴力をふるう
- 酒を飲みすぎている
- 性的不調和
- 浪費する
- 病気
- 精神的に虐待する
- 家族をすててかえりみない
- 家族と折り合いが悪い
- 同居に応じない
- 生活費を渡さない
- その他
ここから複数を選ぶ場合、どれを選びますか。
多くのケースで、浮気はしているが性格はあう、精神的に虐待しているが性格は合う、ということは少なく、数に制限がない複数選択であれば、とりあえず性格の不一致も選択するでしょう。
性格の不一致って?
よく使いますが、性格の不一致とはどういう内容でしょうか。
日常会話の中で出てくるならともかく、裁判所の書式に、内容があいまいな性格の不一致が含まれるのは、やや疑問を感じます。
せめて、「会話がない」とか、「価値観が違う」など、もう少し具体性を持った内容にしてほしいと思います。
2位以下を確認する。
司法統計の離婚原因は、年度によってやや変動はありますが、おおむね以下のとおりとなっています(下記は平成29年度)。
夫の離婚理由
- 性格が合わない
- 精神的に虐待する
- 異性関係
- 家族親族と折り合いが悪い
- 性的不調和
多分、2位の精神的に虐待する、や4位の家族親族と折り合いが悪い、5位の性的不調和にチェックをする方の多くは、「性格が合わない」にもチェックをすると思われますので、これが1位になるのはいわば当然といえます。
妻の離婚理由
- 性格が合わない
- 生活費を渡さない
- 精神的に虐待する
- 暴力をふるう
- 異性関係
こちらも、2位の「生活費を渡さない」、3位の「精神的に虐待する」、4位の「暴力をふるう」にチェックをする方の多くは、「性格が合わない」にもチェックをすると思いますので、やはり性格が合わないが1位になるのは当然と思われます。
上記から見る離婚原因
上記から見ると、夫側の離婚原因は妻の精神的虐待や、異性関係(不倫)、親族と折り合いが悪い(介護に関する方針や、実家との関係だと思われます)が主な理由だと思います。
そして、妻側の離婚原因は、生活費に関することや、精神的虐待、暴力(モラハラや精神的、肉体的DV)、そして異性関係(不倫)をきっかけにしている、という方が、実態に即しているといえるのではないでしょうか・
まとめ
上記からすると、性格の不一致が多いことから、実際に離婚する夫婦では、性格の不一致を感じていることはいえるとしても、性格の不一致が離婚したい一番の理由か、ということには、躊躇します。
司法統計の読み方としては、離婚を申し立てる方の多くは、性格の不一致を感じている、ということが正しいのではないでしょうか。
統計資料を取り扱う際には、統計のデータのとり方や読み方に注意が必要だということは、司法統計でも該当しますので、ご注意ください。
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