弁護士の土日営業について思うところ

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 Twitterで、弁護士の土日営業について話題になっており、弁護士と思われる方が色々なコメントをしていました。

 弊事務所は、土日も営業しており、以前、ブログでも弊事務所が土日営業をする理由について記載していると思いますが、改めて、弁護士と思われる方のコメントを踏まえ、私の考えをご相談にいらっしゃる方にお伝えしたいと考えております。

 なお、弊事務所では、土日のご相談を非常に歓迎しておりますので、土日相談を希望される方は、お気軽にお申し出ください。

土日営業が話題となった経緯

 Twitterで、ある弁護士の方が、働き先の事務所として、土日相談をしていない事務所は働き先の事務所として「ねえワ」とつぶやきました。

 これに対し、弁護士(弁護士と思われる方を含む)から、Twitterで様々な意見が寄せられています。

 寄せられている意見(引用ツイート)としては、どちらかというと土日相談に否定的な考えが目に付きます。

土日営業を選択するかどうか

 土日に営業するかどうかは、そもそもそれぞれの弁護士の自由で、個人で事務所を立ち上げられている方ならご自身の経営判断として行うべきもので、もちろん平日だけの営業にする弁護士も尊重されるべきですし、土日にも営業する弁護士も尊重されるべきといえます。

 ただ、コメントしている方(引用ツイート)の意見には、一部気になる意見も見られたため、土日営業をしている立場として、これまで土日営業をしてきた経験をもとに、感想を述べたいと思います。

私の弁護士としてのキャリアと土日営業

 私は、弁護士はお客様の都合を第一に考えるべきサービス業であるという信念のもと、弁護士になる前から、元ツイートの考え方に近く、自分が就職するのであれば、土日にしか休みがないお客様の都合を考え、土日営業を推奨している弁護士事務所に所属しようと考えていました。

 当初勤務した事務所は、東海地区の大手弁護士法人でしたが、土日営業や平日9時までの営業を行っており、私も、お客様の希望があれば、土日にお客様の相談をしたり、打合せをする、裁判所へ提出する文書を作成するなどしていました。

 当時は、土日にすべて出社することが求められていたわけではなく、土日の「相談日」が設定されるほか、お客様の希望と自分の都合に合わせ、土日に出社することも自由でした。

 現在の事務所も、私の信念に基づき、土日祝日も営業しております。

そもそも論としての土日相談

 現在、仕事の在り方は変化しており、正社員として平日日中働いている方ももちろん多くいらっしゃいますが、シフト制であったり、土日でない日が休みという方も多くいらっしゃいます。

 弊事務所の取り扱っている分野である離婚や不倫慰謝料、相続であれば、平日日中にお仕事をしており仕事終わりや土日のご相談を希望される方だけではなく、シフト制で平日日中でもシフトがなければご相談できる方、主婦の方で、お子様が保育園にいる時間帯が都合が良い方など、様々です。

 土日のご相談を希望される方でも、平日夜間をお勧めすると、そちらでご予約される方も多くいらっしゃいます。

 このような状況からすれば、土日相談だけがお客様の利便性を高めることではなく、平日の夜間のご相談を受けつつ、月に1~2回程度、土日相談を実施するというのも、一つのお客様目線の解決策と思います。

 また、土日営業をどのようにするかは、それぞれの事務所の地域や、多くご相談される分野、現在取り扱っている事件の量にも強く影響を受けるところで、土日営業をしていない事務所がお客様のことを考えていない、とか、土日営業をしている事務所の弁護士の質が低い(可能性がある)ということではないことは、はっきりとお伝えしたいと思います。

弁護士が土日相談をすると休みがなくなる!?

 弁護士にとって、土日に営業をする一番のデメリットは、休みがつぶれることです。

 どうしても、平日は裁判所等が業務を行っているため、それに合わせて営業することが必要といえます(工夫次第かもしれませんが)。

 さらに毎日土日も営業をすると、休みがなくなってしまいます。ご家庭がある弁護士の方にとっては、家族との大切な時間を失うこととなってしまうでしょう。

 そのため、ご自身の生活スタイルとして、土日営業を控えたい、というのは、当然のことだと思います。コメントでも、土日に相談を始め、土日しかご相談にいらっしゃれないお客様が増えると、ずっと土日に相談をし続けなければならず負担であるといった趣旨を述べられている方もおり、もっともだと思います。

 ただ、月2回だけ土曜日も営業するなど、工夫の方法はいくらでもある気がしますし、実際毎週土日がすべて相談や打合せで埋まるといったことはないです。

 土日相談を始めると休みなくなってしまう、というコメントは、弁護士のワークライフバランスの問題なので、私も理解できるところです。

 しかし、その他に、以下に述べるようなコメントが寄せられており、私は非常に気になりました。

土日の相談は直前のキャンセルが多い?

 一部コメントで、土日相談はキャンセル等が多い、という意見がありました。

 もちろん、一定数、そのようなお客様がいらっしゃることは否定できませんが、私の体感としては、土日相談だから、といった理由ではないと考えています。それは、以下の2点からです(これは、私個人の考えです)。

 なので、ご経験談という部分もありますが、ちょっと違うのではないか、という印象を受けています。

 ご予約から相談まで日程が空くほど、キャンセル(無断キャンセル含む)が多い。

 土日に限らず、ご予約から相談まで日程が空けば、キャンセルは増えます。お客様が他の弁護士にご相談し、解決することや、そもそも数日たって問題が解決する(相談する必要を感じなくなる)ということもあるためと思われます。

 平日の予約であれば、日程が合えば翌日相談を実施しますが、土日相談となれば、1週間、場合によっては翌週の土日と2週間近く空いてしまうこともあり、キャンセルが増えるのだと思っています。

土日のキャンセルは印象に残る

 普段出社しない弁護士であればあるほど、土日キャンセルされると印象に残ります。

 平日のキャンセルは、いらっしゃらなければ、仕事を続ければいいだけであまり気になりませんが、土日に相談のために出社し、直前でのキャンセルとなると、もやもやする弁護士も多いのではないかと思います。

本当に困っている方は、休んででも平日に相談する?

 コメントには、本当に困っている方なら、平日に休みを取っても相談するといった趣旨のコメントも散見されます。この考え方の延長線上で、土日相談は「筋が悪い」という趣旨のコメントもありました。

 私の考えとしては、弁護士のご相談の典型として挙げられる、交通事故、借金、労働、離婚、相続など、本当に困ってるなら休みとってきてください、仕事を休めないならその程度の悩みなんですね、とは、私は絶対に思えません。

 悩みごとの優先順位は様々で、特に相続など、個人的な問題でわざわざ仕事を休んでいくのは躊躇される、という方がいらっしゃるのは、休まないから悩みのレベルが低い、という訳ではないでしょう。

 実際、弊事務所でも、仕事が休みである土日のご相談でもいいとお伝えしても、できるだけ早く相談したく、平日の休みを取ってでも行くからできるだけ早い日程で予約したいという方もいらっしゃいます。

 でも、それを弁護士(ご相談される側)が、お客様に対する意識として持つのはどうなのかな、と、私とのスタンスの違いを強く感じてしまいます。(もちろん、私も、ご相談内容から緊急性が高いことが明らかであれば、早目に相談に来た方がいいから休みとれないか、と伝えることはあります)。

 また、まじめな分析としては、仕事を休んででも平日に予約し相談にいらっしゃる方は、ご相談内容の緊急性が高いため、ご依頼につながることが多いのは当然です。平日の相談が土日相談に比べて「本当に困っている」のは、そもそもご予約段階でのスクリーニングの差で、土日相談の方でも、「本当に困っている」方は多くいらっしゃいます。

 ただ、コメントされている弁護士の方をフォローすると、実際、仕事を休むほどではないし、依頼することは考えていないけれど、ちょっと相談してみたい、という方がいらっしゃることは事実(これを、「筋が悪い」と表現されているのだと思います)で、そのような方が土日相談を希望し、対応したが依頼につながらなかった、というご経験を踏まえたコメントなのだと思います。

お客様目線でないコメント

 上記のコメントや、その他のコメントを見て思うのは、コメントしている弁護士に、お客様目線のコメントが少ないと感じる、というところです。

 弁護士さんのコメントで、お客様のご要望も多いので本当は土日もした方がいい(お客様目線)と考えているが、キャパシティやワークライフバランスの観点から限界がある、というニュアンスのコメントは、共感できるところですし、そのような仕事のやり方は尊重されるべきだと強く思っています。

 ただ、相談があるならスケジュール合わせてよ、というのは、やはり気になります。

 平日に休み取ってください、土日相談を希望される方は筋が悪い、というのは、そもそもの弁護士としてのスタンスが、私とはちがうんだな、と強く感じてしまいます(もちろん、そのことが悪いというつもりはありません)。

実際の土日相談

 Twitterのコメントでは、土日相談を始めると、土日を希望される方が非常に増えるのではないかと懸念を示している方もいらっしゃいますが、弊事務所では土日相談がそれほど多いわけではございません。

 また、土日相談を希望される方であっても、調停や証人尋問は、お休みをとってお越しいただけておりますので、その点の心配もありません。

 これも弁護士としてのスタンスの違いだと思いますが、お気軽にご相談いただくのであれば、土日も営業した方がいいと考えています。

まとめ

 土日営業についてツイッターで発言があったので、私の考えを記載いたしました。

 もちろん、弁護士業務とはどういったものか、というスタンスは、弁護士それぞれであり、それぞれ尊重されるべきだと考えています。

 あいなかま法律事務所は、離婚、不倫慰謝料のご相談については、初回相談が無料で、土日祝日もご相談を受け付けております。

 土日祝日しかお休みがない方も、お気軽にご相談ください。