匿名で、伏字で書き込まれたのですが、それでも削除できますか。

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 インターネットでは、匿名で書き込みを行えたり、一部を伏字にして書き込みをすることがしばしば行われます。

 最近は少なくなりましたが、例えば「イン〇ーネット」のような書き込みがされるケースや、さらに、名字だけ、または名字すら記載していないけれども、関係者(例えば同じ会社の人)が見ればわかるといったケースがあります。

 そこで、この場合に、名誉毀損となり、削除や損害賠償請求が認められるのか、検討してみます。

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伏せてあれば大丈夫か

 はっきりといえることは、伏せてあっても、特定ができれば 名誉毀損 になりえるということです。

 伏字になっているケースのほとんどは、誰が見ても何の字が伏せてあるのかわかる、または関係者が見れば何の字が伏せてあるかわかるケースですが、その場合には、 名誉毀損 になりえます。

 最近、伏字にしてあるものをあまり見かけなくなったのも、上記の理解が浸透してきた結果だと思います。

どこまでわかるとアウトか。

 例えば、「浅草橋駅近くで働いている弁護士」というケースを考えてみましょう。浅草橋駅近くに弁護士事務所は複数あるため、これだけでは特定することはできません。

 しかし、例えばこの記載と併せて年齢や、身体的特徴などが記載されていた場合には、知っている人から見れば特定ができる可能性があります。

 この際にポイントとなるのは、一般の読者がわからなくても、背景事情を知っている方から見て特定ができればいいということです。

 そのため、例えば単にある会社の「お局様」と指摘したケースでも、女性社員の数やそれぞれの勤続年数から、関係者が読んだときに特定の個人を指すものと判断できる場合には、名誉毀損となりえます。

匿名の投稿でも、削除や損害賠償請求はできますか。

 それでは、投稿が匿名でされている場合はどうでしょうか。掲示板では、ハンドルネームなど、匿名で書き込みができる場合が普通です。

削除できます

  名誉毀損 の表現の削除を依頼する場合には、サイト管理者等、書き込みをした本人以外へ削除請求が可能であるため、削除のみであれば、そもそも相手がだれかということは必要なく、削除してもらうことが可能です。

損害賠償請求も可能です。

 書き込みに関して、名前が記載されていない場合でも、書き込みから期間が経過していなければ、裁判所を介して調査を行うことにより、書き込んだ者が使用しているインターネット回線の契約者を特定することが可能です。

 その結果、書き込んだものを特定し、損害賠償請求を行うことが可能となっています。

 以前は、裁判所が損害を賠償するよう命じた判決が出た場合でも、財産の所在が分からず泣き寝入りを強いられる可能性が高かったのですが、裁判所を介して勤務先や金融機関の口座の保有状況の照会をかけられるように制度が改正されることとなり、判決の実効性を担保することが可能となりました。

 この点については、別に記事にしようと思います。

まとめ

 匿名や伏字であっても、削除ができる場合がありますので、被害の拡大を防ぐために、できるだけ早く相談にいらしてください。