【不倫慰謝料】家庭内別居・不仲でも支払い義務はある?破綻の判断基準と減額ポイント。

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不倫の前に家庭内別居状態だった、夫婦仲は険悪だったという場合の慰謝料請求について解説します。


不倫慰謝料でよくある悩み(家庭内別居・不仲の場合)

不倫をしてしまい、慰謝料を請求された方の中には、次のような思いを抱えてご相談にいらっしゃる方もいらっしゃいます。

  • もともと夫婦関係はよくなかった
  • 仮面夫婦だった
  • 離婚の原因は不倫ではなく夫婦仲の悪さだ
  • 不倫のせいにされているのが納得できない

また、「不倫したこと自体はよくなかったが、すべて自分の責任とされるのはおかしい」と感じる方も少なくありません。

そこで本記事では、このような場合に慰謝料の支払い義務があるのかを整理します。

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【結論】婚姻関係が破綻していれば,慰謝料は支払わなくていい。

 裁判所は,婚姻関係が破綻していた後に,不貞行為(不倫)があったのであれば,慰謝料の支払い義務はないと判断しています。これを,婚姻関係の破綻の抗弁,といいます。

 これは,婚姻関係が破綻している、つまり不倫する前から夫婦としての実態がなかったのであれば、不倫は夫婦関係に影響を及ぼしていないのだから、慰謝料は払わなくていい、という考え方によります。

 これを読んで、「なるほど、これで安心だ!」、「私の場合は大丈夫」と判断するのは少し待ってください。これから、どんな場合に夫婦関係が破綻したと認められているのかご説明します。

婚姻関係の「破綻」と認められる基準

■ 修復の見込みがないことが必要

裁判所は、婚姻関係の破綻について、夫婦関係に修復の見込みがない状態であることを求めています。

そのため、

  • 不仲である
  • 会話がない

といった事情のみでは、破綻とは認められない場合が多いといえます。


■ 客観的に破綻している必要がある

「自分はもうやり直す気がない」という主観的意思だけでは足りません。

裁判所は、客観的に見て破綻しているといえる事情が必要であると考えています。

したがって、

  • 一方当事者のみが離婚を強く望んでいる

という状況だけでは、破綻とは評価されにくい傾向にあります。

家庭内別居は破綻と認められるか

家庭内別居(同居はしているが実質的に別生活)については、次のような問題があります。

  • 会話がない
  • 生活が完全に分離している

しかし、実際、本当に会話がないでしょうか。特にお子様がいる家庭では、子どものことについて話をしたり、家族で旅行に行くなど、夫婦らしい外観を生じさせていないでしょうか。

 まわりから見たら、(実際の夫婦関係は分からないけれど)普通の夫婦であるかのような外観を生じさせていないでしょうか。

 裁判所も同じで、実際に夫婦の会話がなかったのか、どの程度であったのかは、分かりません。当事者の言い分は、嘘をついているという趣旨ではありませんが、誇張があったり、上にあげたように子どものこと等で実際には会話をしていることがほとんどです。そして、例に挙げたような子どものことについての会話は、まさに夫婦が共同体として行う会話です。

 このような事情もあり、また同居中の実態が正直明確にわからない部分もあり、結果として裁判所は、同居している事実を重視する傾向があります。

そのため、

家庭内別居のみでは、破綻と認められないケースが多い

といえます。

これは、

  • 同居している以上、修復の可能性があると評価されやすい
  • 家庭内別居の実態の立証が困難

といった事情によるものと考えられます。

別居していれば破綻と認められるか

別居は重要な事情ですが、別居のみで直ちに破綻とは認められません。

特に、

  • 一方が一方的に家を出た
  • 他方が関係修復を希望している
  • 離婚の合意がない

といった場合には、破綻の認定は難しい傾向にあります。

参考記事 別居した後に交際を開始したら,慰謝料は払わなくていい?

婚姻関係の破綻は立証が難しい

婚姻関係の状況については、

  • 日常生活の記録が残っていないことが多い
  • 当事者双方の主張が対立する

という事情があります。

その結果、

  • 証人尋問などで判断されることが多い
  • 破綻の証明は請求されている側が負う

ことから、実務上は立証が困難な場面が多いといえます。

特に、不倫の慰謝料請求は、夫婦から見れば他人である第三者の不貞相手に対して裁判が起こされることがあり、この場合、夫婦関係が破綻していたことの立証はさらに困難が伴います。

夫婦関係の悪化は慰謝料の減額要素になる

婚姻関係が破綻していない場合でも、

  • 夫婦関係が相当程度悪化していた

という事情は、慰謝料の減額事由として考慮される可能性があります。

もっとも、

  • 慰謝料額には幅がある
  • 夫婦関係の立証が難しい

という事情から、どの程度減額されるかは一概にはいえません。

不倫の慰謝料を減額するポイント

 不倫の慰謝料を減額する交渉におけるポイントをご説明します。交渉ができる弁護士は、意識的に、又は無意識に、以下のことを実践している印象です。

不倫の慰謝料額だけの話し合いをしない。

 不倫の慰謝料に関して、できるだけ減額する方向で交渉するコツは、慰謝料額だけを話し合わない、ということです。

 不倫の慰謝料の金額をいくらにするか、という1つの論点だけを話し合っていたのでは、「高い!」、「安い!」、「もう一声」など、ただの値切交渉になってしまいます。

話し合いのイメージ

 不倫の慰謝料に関する話し合いを交渉という観点で見たとき、大切なことは、交渉における「論点」(話し合わなければいけない点)を増やして、その他の部分で譲歩する(譲歩したように見せる)ことで、金額について減額させる、ということになります。

 そのためには、以下の手順を踏むことになります。

「論点」があることを発見する。

 不倫の慰謝料について、金額以外に話し合いの材料に使える内容を発見します。この際、この内容は、相手にとっては大切だけれども、こちらにとってはどちらでもいい、ということであればなお望ましいです。

「論点」を相手に意識させる。

 相手に、不倫の慰謝料以外に、この点についても話し合わなければいけない、ということを認識させます。

 その点が、相手にとって非常に重要である、ということをアピールできればなおいいです。

「論点」について譲歩する(譲歩したように見せる)代わりに、減額を求める。

 その「論点」について、相手からの要望を引き出したうえで、こちらがその点を譲歩する代わりに、不倫の慰謝料の金額を減額するよう求めます。

まとめ|「破綻」の主張は慎重に検討すべき

婚姻関係の破綻は、

  • 認定のハードルが高い
  • 立証も難しい

という問題があります。

そのため、

  • 破綻の主張にこだわるだけでなく
  • 夫婦関係の悪化を交渉材料として活用する

という視点も重要です。

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