未払いの養育費をきちんと支払わせたい!法律改正で、調査できる範囲が広がりました。

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 養育費の未払いで泣き寝入りをしている方へ、朗報です。

 養育費をきちんと決めたのに、支払ってもらえず泣き寝入りとなっている方も多く、しばしばニュースでも取り上げられます。

 このような問題への対応として、裁判所を通じて強制する強制執行に関する法律が改正され、相手の財産の調査など、できる範囲が広がりました。

 そこで、今回は、養育費を決めたけれども、きちんと支払ってもらえず、泣き寝入りされている方へ向けて、相手の財産の調査の方法について、法律改正があった点を中心にご説明します。

 これまでは調査できなかったことが調査できるようになり、非常に有益な制度となりました。

財産開示手続~これまでの制度の確認

 法律上、裁判所を通じて相手の財産を調査する手続きとして、「財産開示手続」と呼ばれる制度が整えられています(民事執行法)。

 しかし、この制度は、債務者本人から話を聞くことしかできず、宣誓義務はあるものの、虚偽について過料しか定められておらず強制力が弱いという大きな欠点があり、あまり利用されておりませんでした(ある著名な学者の本には、「制度設計の欠陥といえよう」と指摘されています)。

 これが改正され、扱いやすくなりました。以下では、重要な改正のポイントを、主に養育費が支払われない場合の財産の調査という視点から見てみることにします。

公正証書による財産開示手続の利用が可能になりました。

 これまで、財産開示手続は、公正証書をもとに、手続きを行うことは認められていませんでした。

 しかし、法律が改正されたことにより、公正証書で決めた場合であっても、強制執行認諾文言付公正証書で教師執行の申立てが可能であれば、財産開示手続が利用できることとなりました。

 これまで以上に、養育費を公正証書としておくことの重要性が増したこととなります。

市役所などを通じて情報取得が可能

 これまで、財産開示手続は、本人に対して聞き取りをするという手続きであり、本人以外の第三者、例えば市役所などを通じて情報を取得することはできませんでした。

 また、上記法律以外に弁護士会を通じた弁護士会照会(23条照会)という手続きで、預貯金口座の開示を受けられるケースはありましたが、市町村へ照会することはできませんでした。

 民事執行法の改正で、調査できる内容ごとに、本人以外の第三者からの情報取得が可能となり、調査できる範囲や実効性が非常に広がりました。

情報を取得できる財産の種類

 先ほどご説明したように、法律改正により、市役所などを通じて情報を取得することが可能となりました。

 市役所など第三者を通じて調査できる財産の種類は、以下のとおりです。

不動産

 不動産に関する情報を、登記所を通じて取得できます。

 *令和3年5月16日までに開始予定であり、執筆時点では利用できません。

給与

 給与に関する情報を、市町村、日本年金機構等を通じて取得できます。

 ただし、養育費など不要に関する債権や、生命または身体による損害賠償請求権についての場合に限ります。

 養育費の回収という視点からは、給与が調べられることになったことは非常に重要なことです。

 というのも、これまで、勤務先の情報を把握することは困難で、離婚時の勤務先を退職して勤務先が変わった場合に、新しい勤務先を調査することは困難だったのです。

 しかし、法律の改正により、この調査が容易にできるようになり、その後に差押えをすることもできるようになりました。

預貯金

 預貯金に関する情報を、それぞれの銀行等を通じて取得できます。

社債、株式

 社債、株式等に関する情報を、振替機関(上場株式等を集中して管理する機関)等を通じて取得できます。

 資産があると見込まれる方の場合には、株式の差し押さえも有力な候補となります。

活用例

 以下のようなケースを想定してみます。

 5年前に元夫と離婚したときに、強制執行認諾文言付公正証書で養育費を定めていたが、昨年から未払いになっている。元夫は離婚した後、会社を退職したという話を周りの友人から聞いたが、その後どこに勤めているかはわからない。

 これまで、元夫の勤務先がわからない場合には、勤務先を調査することは事実上できず、給与の差し押さえは困難でした。

 しかし、法律の改正により、財産開示手続きを利用し市役所に情報の通知を求めることを通じて、元夫の勤務先を調査することが可能となりました。

 また、元夫に比較的資産があり、結婚当時から株式を保有していた場合など、株式を持っている可能性が高い場合には、振替機関に照会することで、株式の保有状況を調査することも可能となりました。

 その結果、給与や株式の差し押さえを通じて、養育費を支払ってもらうことが可能となります。

離婚時にしておくこと

 これらの制度を利用するためには、離婚時に養育費を強制執行認諾文言付公正証書か、離婚調停等の裁判手続きで定めておいてある必要があります。

 これからは、離婚時に養育費を取り決める場合には、調停をしない場合でも強制執行認諾文言付公正証書を作成することを強くお勧めします。

離婚後でもできること

 離婚時に養育費を決めておかなかった、決めたけれども強制執行認諾文言付公正証書にしていない、という方でも、今から、養育費請求調停を申し立てて、裁判所で養育費について合意することで、その後の未払いについて強制執行を行うことが可能となります。

 詳細なお手続きは、弁護士へご相談ください。

まとめ

 法律改正で、養育費が支払われない場合にできることが広がりました。

 養育費が支払われずお困りの方は、60分無料法律相談を実施しておりますので、あいなかま法律事務所へご相談ください。