誤字脱字が生じる原因やチェック法について、私の考えをまとめました。
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弁護士は、裁判所などへ長い書面を提出することがあります。この際、どうしてもつきまとってしまうのが、誤字脱字です。
一通り再読しても、なかなか気が付かず、提出して指摘されるとすぐ気づく、提出したものを、裁判所へ行く際に確認したら見つける、などがどうしても生じてしまうケースもあります。
私も、第一稿では誤字脱字が多い傾向にあるため、かなり気を付けていますが、ブログなどでは、どうしても見落としが生じます。
そこで、今回は、誤字脱字について、生じる原因(と私が考えていること)や、対処法を考えたいと思います。
なお、以下では、脳の働きについての指摘がありますが、ほぼすべて私の主観的な考えで、学術的裏付けがあるものではないので、ご了承ください。
誤字脱字のパターン
パソコンで書面を作成していく中で、誤字脱字が生じる典型的なパターンは、以下のようなものと思います。
- 入力ミスがそのまま残る「入力ミスがそおまま残る」
- 誤変換に気がつかない「御変換に気がつかない」
- 文書を推敲していくうちに余計な字が残る、消しすぎる「文書を推敲し切り貼りていくうちに余計な字が残る、消しすぎる」
その他、ナンバリングの誤りもしばしば生じます(これは誤字脱字とはずれるので省略)。
私の傾向としては、誤字脱字にひらがなが関わっている場合、ミスが残りやすい傾向があります。
誤字脱字が生じる背景にある、脳の認識方法について
誤字脱字があるのは、注意力不足で、本人がきちんと見れば気が付くはずだ、というのは、一理あります。しかし、ちゃんと読み返しても、きちんと見直しても気が付かなかった、というご経験をされたことがある方は多いのではないでしょうか。
私も、ミスが多いといわれていたころがあり、気を付けようとしても治らず辛い思いをしていた時期があります。でも、気が付かないのは、もともとの脳の文書認識の過程に原因があるのかもしれない、と考えられるようになって、対処法を考えて修正することができるようになり、楽になりました。
そこで、以下では、文字認識についての有名なコピペをご紹介します。
こんちには みさなん おんげき ですか?
わしたは げんき です。
この ぶんょしう は イリギス の ケブンッリジ だがいく の けゅきんう の けっか にんんげ は もじ を にしんき する とき その さしいょ と さいご の もさじえ あいてっれば じばんゅん は めくちちゃゃ でも ちんゃと よめる という けゅきんう に もづいとて わざと もじの じんばゅん を いかれえて あまりす。
どでうす? ちんゃと よゃちめう でしょ?
ちんゃと よためら はのんう よしろく
第2文か第3文ぐらいで、おかしいなと感じ、よく見るとほぼすべての単語で仮名の順番がおかしいことに気が付くと思いますが、それほど難しくなく、読み通すこと自体はできるのではないでしょうか。
特に、第1文では気が付かなかった方もいらっしゃると思います。
私は、初めて読んだ際(まだ大学生で、某掲示板のスレッドで見た記憶があります)、最後まで読んでもすぐには気が付かなかった記憶があります。
この文書で指摘されている、「最初と最後の文字さえ合っていれば順番はめちゃくちゃでもちゃんと読める」という研究結果が正しいのかはわかりませんが、少なくとも人間の認識として、この程度の誤字(順番入れ替え)であれば、無意識に修正して読んでしまう、ということはいえると思います。
私の理解となりますが、人は、自分の先入観や、これまで文書を読んできた理解を前提に、ある程度修正、補完、省略して外部を認識する(文字を読む)傾向があるといえます。
小さい頃に、皆さんが実際に試してみたことがあると思われる、目の盲点に関する体験も、やはり周辺の情報をもとに、目の認識を脳が補完しているのと、同じようなものではないかと理解しています。
なお、上記引用文書で書かれている内容は、そもそもケンブリッジ大学の研究ではないなど不正確な記載が多いらしいので、例文としてご理解ください。
誤字脱字を見つけられない理由
上記脳の働きの理解を前提にすると、文書の誤字脱字を見つけられない理由が見えてきます。
1 自分で書いた文書なので、何が書かれているか、どのように書いたか、何を書きたいかを自分はすべて理解している。
2 そのため、文書を読んだ際、誤字があっても、脳がこれを補完し修正してしまうため、誤字があると気が付かない。
上記が、誤字脱字に自分で気が付きづらい、一番の原因であると考えています。そのため、上記原因を解消するのが、対処法として一番早いといえます。
脳の本来の働きのせいで、誤字脱字がなかなか減らない、自分の注意力不足だけが原因ではない、と気が付くことができて、私は、多少気楽になれました。とはいえ、誤字脱字を減らさなければ意味はありません。
誤字脱字を減らす方法
上記を踏まえて、誤字脱字を減らす、見落とさない方法ですが、いくつかあげられると思います。
第三者に見てもらう
色々と述べていますが、これが一番です。第三者は、自分で書いたわけではなく何が書きたいか読まなければわからないこと、第三者にとっては他人の書いた文書となるので、文書理解の上で多少の読みづらさが生じることなどから、脳の補完機能は働きづらいといえます。
協力してもらえる人がいないと難しいですが、誰かいるのであれば、無理にでもお願いしてみてもらうのが一番いい解決法だと感じています。
環境を変える
文書作成時と同じ環境、同じモニタ、同じ文字の大きさで読むと、脳の補完機能が働きやすいと感じます。
しばしばいわれることがありますが、印刷する、別の場所で確認するなど、文書作成時と違う環境を意図的に作り出して、誤字脱字は見つけやすい印象です。
時間を置く、違うことを考える。
脳は、どうしても事前に入力された情報に影響されて、物事を認識してしまうようです。ビジネスの場面でしばしばいわれる「プライミング効果」というのが典型例ですが、その真偽はともかく、事前にあることの話題をずっとしていると、他の話に変わった際に、前の話題に関連付けて理解してしまう、という経験はあるのではないでしょうか。
私のは、脳のうち、その部分が事前に活性化しているため、他の話が出た際に、活性化している部分の影響で、どうしても関連付けて脳が理解してしまう、という理解をしています。
誤字脱字についても、上記のような脳のうち、文書作成に使った部分が活性化しているため、誤字脱字の確認のために読み直した際、どうしても関連付けから補完機能が働きやすい、という印象です。
そのため、翌日に見直す、敢えて文書の内容と離れたことをして、その状態のまま誤字脱字を確認する、ということがいいと私は感じています。
内容は確認しない。
どうしても、文書を推敲する際、内容も確認したいという欲求にかられます。しかし、内容を確認しようとすると、内容を理解するため、脳が補完してしまう機能が強まるそうすると、感じています。
なので、誤字脱字をチェックする、という際には、敢えて内容には触れない、考えない、という気持ちを持つことも大切だといえます。
入力した直後に、その場でぱっと見る
話をひっくり返すようですが、効果が高いと思われる手法として、入力したその場で確認する、一瞬だけ目を入力した文字に戻すことを心がけるのもいいと思います。
変換ミスなどは、後に全体を通して読むと気が付きませんが、入力直後なら発見は比較的容易です。
まとめ
私も、誤字脱字が治らずしんどい思いをしたことがあります。ちゃんとするべきことをする、ということは大切ですし、そのために色々な方法を試す、自分に適した方法を見つける、ということが一番かと思います。