裁判を傍聴する際の注意点や、弁護士から見た裁判傍聴

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 私が学生時代だったかと思いますが、裁判傍聴がブームになった時期がありました。

 裁判員裁判の導入などとも関連し、国民の裁判に対する関心が高くなったからといえます。

 私も、大学時代に一度、(弁護士になるつもりはそのころはありませんでしたが)裁判傍聴に行ったことがあります。

 高校の社会科見学でも、裁判傍聴が選べた記憶です。

 そんな、裁判傍聴について、しばしば質問されることがありますので、裁判傍聴の際に注意いただきたいことをご説明します。

裁判傍聴ができる根拠

 憲法82条は、「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」と定めており、これに従い裁判は、原則として誰でも傍聴ができることとされています。

 手続きによっては非公開の手続きもあります。

 憲法で定められた国民の権利であるため、傍聴にお金はかからず、身分証明書等の提示を求められることもありません。

 もちろん、傍聴希望者が多い場合には抽選等になるケースもありますが、著名な事件や著名人のケースを除けば、めったにそのようなことはないといえます。

 法廷では、裁判官が秩序を維持することとなり、不適切な傍聴人については退廷を命じることもできますが、ルールを守って傍聴しているのであれば、退廷を命じられることは有りません。

(私の知っている範囲では、社会科見学の法廷傍聴中に寝ていた学生を退廷させたというケースがあります。)

裁判所から案内されている、傍聴の際の注意点

 裁判傍聴のルールは、概ね以下のとおりです。(大阪地方裁判所ホームページから引用していますが、)

・刃物等(はさみ,カッター又はかみそりなど)の危険物や鋭利な文房具(コンパス,ピンセットなど)は,裁判所に持ち込まないようにしてください。
・裁判所敷地内(法廷内だけでなく,庁舎内廊下・庁舎外の前庭などを含む)では,写真撮影,録音等はできません(メモは自由です。)。
・法廷内及び法廷前の廊下では,私語を慎み,静かにしてください。
・携帯電話の電源は,法廷に入る前に切ってください。
・裁判の審理中に入室・退室をされる場合には,審理の妨げとなることが無いよう,必ず静かにお願いします。
・その他,各法廷の入り口にある「傍聴についての注意」をご覧ください。

裁判所ホームページ

弁護士からみた、傍聴中にしてほしくないこと

 特に証人尋問などでは、一般の方が傍聴に来るケースがしばしばあります。

 弁護士からすると、傍聴人がいてもあまり気にならないのですが、一つだけ、注意していただきたいことがあります。

 それは、音を立てないこと、です。

 話し声に限らず、音がすると、やはり気になってしまい、集中が途切れてしまうことがあります。

 人が法廷に出入り程度であれば気にならないのですが、話し声や荷物を落とす音がするときになってしまいます(話していると退廷させられる恐れもあります)。

知っていてほしいルール

 先ほどの裁判所からの法廷傍聴に関する注意事項でははっきりと書かれていませんが、私が傍聴を希望される方に、必ずお伝えしていることがあります。

 それは、静かに出入りすれば、法廷傍聴は入退室自由である、ということです。

 

 傍聴中に気分が悪くなってしまった、という場合は、裁判官に許可を得る必要はありませんので、何も言わずに、静かに、退室してください。

 傍聴を始めたが、あまり興味がわかず飽きてしまった、という場合は、その場でおしゃべりを始めたりせず、静かに、退室してください。

 一度退廷したけれども、体調が良くなったので、続きを聞きたい、という場合は、静かに入室してください。

 入退室自由、ということを知っておけば、気軽に裁判の傍聴ができるのではないかと思います。

まとめ

 裁判の傍聴にあたり、知っておいてほしいことをまとめました。

 法廷傍聴自体は最近は下火になっており、一時期のように法廷マニアが押し掛ける、ということはないようですが、興味があれば、一度傍聴してみるのもいいかもしれません。