子どもの本心が知りたい!家庭裁判所の調査官調査による子どもの意向の調査。
この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。
離婚事件で、親権や監護権、面会交流の実施にあたり、子どものことが問題になるとき、子どもの意思に対して、主張がされることがあります。
子どもの意思がどこにあるのかは、ときに大きく争われることがあり、このときに活用されるのが、家庭裁判所調査官による調査(以下、「調査官調査」といいます)です。
私は、親権や監護権、面会交流が問題になるケースでは、可能な限り調査官調査を行うように調査官や調停委員にお願いをしています。
そこで、今回は、調査官調査とは何かや、調査官調査を行うメリットを解説します。
調査官調査とは。
調査官調査とは、家庭裁判所調査官により、専門的な知見に基づき、事実関係を調査することで、紛争の解決を助けるものです。
調停、審判、裁判が行われているときに、裁判所が必要と認めるときに行われます。
そのため、調停などを申し立てずに、調査官調査のみを求めることはできません。
また、裁判所が不要だと判断した場合には、調査官調査は行われません。
家庭裁判所調査官ってだれ?
家庭裁判所の職員で、心理学や教育学などの知見を持った方です。通常の書記官とは別に採用されています。
法律学の知識と心理学の知識を合わせて、調査を行います。
何を調査するの?
親権に争いがある場合の調査官調査では、子どもの監護状況や、子どもの意向を中心に、必要があれば様々な調査を行います。面会交流で争いがある場合の調査官調査では、子どもの意向を調査します。
調査の方法としては、子どもへの聞き取り、親への聞き取りを行うほか、必要があれば幼稚園への聞き取り、監護状況の確認ための自宅への訪問、監護補助者(子育てを手伝っている親族など)への聞き取りなども行います。
調査の結果は調査報告書という形でまとめられ、調停などの資料になります。
調査官調査の実施について
調査官調査の実施は、裁判所が必要と認めた場合に行われます。
親との面談は裁判所で行われ、子どもとの面談は子どもの年齢等に応じて自宅や裁判所で行われます。
自宅への訪問などの場合も、日程は事前に通知されます。調査官が実際に出向くため、遠方の場合は大変なようです。
家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。
家事事件手続法65条
調査官調査の2つのメリット
私が、調査官調査に大きなメリットを感じるのは、以下の2つの理由からです。
子どもの意向を正しく知る/伝えることができる。
多くのケースで、子どもの意向がわからない、子どもの意思がゆがめて伝えられている、という主張がされます。
別居直後で子どもに会えない、子どもの親権を争っている状況であるため、双方にお互いの言い分を素直に受け取れず、疑心暗鬼になってることも多く、また同居している親の影響を少なからず受けていることも事実です。
家庭裁判所の調査官は、子どもの心理に関しての専門家であり、また裁判所の職員であり中立な立場から子どもに聞き取りを行います。
時には子どもと一緒に遊んで打ち解けてから話を聞いたり、子どもの話を受けて子どもの心理を分析したりして、子どもの意見をできるだけくみ取って伝えようとします。
その結果、子どもの意見や現状を正しく知ることができます。
これは、子どもの意向を中立に正しく伝えられる点で同居している親にとっても、また子どもの意向を中立に正しく知ることができる点で同居していない親にもメリットがあります。
話し合いのベースになる。
子どもの意向や状況を両親が正しく把握し、また調査官調査における調査官の分析を踏まえて、双方が建設的な意見を出し合うことができます。
面会交流では、例えば、子どもがなぜ嫌がっているのかを、両親が正しく把握した結果、どのような形でなら実施が可能なのか、もしくは当面は直接は実施しない方がいいのではないかといった方向での合意が可能となります。
また、親権の争いでも、子どもの監護の環境や子どもの意向を考えて、合意に至ることができるケースは多くあります。
実際、多くのケースで、調査官調査の結果、親権や面会交流について合意に至っています。
弁護士の立ち合い
調査官調査では、親からの聞き取りが行われますが、その際、代理人弁護士は立ち会うことが可能です。
私は、複雑な案件では、できるだけ立ち会うようにしています。
まとめ
子どもの意向が知りたい、子どもがどう考えているのか知りたい、というケースでは、できる限り調査官調査が実施されたほうがいいと考えています。
調停では、弁護士を代理人として立てたうえで、争点となるところを整理していき、ポイントを押さえた主張をすることで、全体の進行を有利に、そして円滑に進めることが可能になります。
調停でこちらの意向をうまく調停委員に伝えるためには、弁護士へ依頼する方がいいといえますので、まずは弁護士へご相談ください。