慰謝料の額が気になる方へ
不倫の慰謝料に関して、一番気になるのは、慰謝料がどのぐらいになるのか、ということだと思います。これについては、ご事情により大きく異なってくるため、実際にご相談いただくのがよいかと思います。
相場と解決事例
インターネット上で、不倫の慰謝料の相場や、解決事例を目にすることがあると思います。その際に注意していただきたいのは、裁判における慰謝料と、 話し合いにおける慰謝料についてです。
裁判における慰謝料
裁判における慰謝料は、ご結婚の期間や夫婦関係、子供の有無など様々な事情を考慮して、裁判官が判断します。おおむね「相場」というときに弁護士が念頭に置くのは、裁判における慰謝料額です。
そして、裁判官が判断する場合、 不倫した方の支払い能力や社会的地位は、原則として慰謝料の考慮要素とならない傾向にあり、また裁判官は過去の事例を重視して判断するため、特殊なケースを除き、「相場」より大きく離れた金額になることはなかなか考えづらいといえます。
ただし、不倫の事実が問題になる場合などは、この点で金額が大きく変動する場合があります。
話し合いによる慰謝料
これに対し、不倫の慰謝料に関して、高額または低額の慰謝料を獲得として解決事例に掲載されるのは、話し合いにおける慰謝料のケースが多い傾向にあります。
話し合いにおいては、双方が金額以外の部分に目を向けることもあり、その場合には、金額以外のところの条件についても交渉のテーブルに乗せることで、慰謝料額を抑えることができる場合や、逆に高額な慰謝料を支払ってでも早期に解決した方がいいケースもあります。
いずれの場合であっても、こちらにとって不利な面を見せずに交渉を進めることが原則です。
実際に相場がどのぐらいなのか。
前置きはこのくらいとして、実際の相場はどの程度なのか、見ていきたいと思います。
一般に、不倫の慰謝料の「相場」は、「50万円~300万円」、「100万円から数百万円」など、様々な範囲が言われております。これらは、おおむね、これまで語り継がれてきた話や、各事務所で取り扱った事件から導き出し、これを記載しているケースが多いといえます。
平成14年から平成20年までの裁判例の平均値
平成14年7月からから平成20年3月までの裁判例を調査した結果 としては、以下のとおりとされています (以下の記載は、判例タイムズ1278号「不倫慰謝料請求に関する実務上の諸問題」安西二郎著によっています。) 。
最低額、最高額、平均値
最低額 | 80万円 |
最高額 | 600万円 |
平均値 | 216万円 |
夫婦の状況に関する平均額
離婚事案の平均額 | 208万円 |
婚姻破綻事案の平均額 | 234万円 |
婚姻継続事案の平均額 | 140万円 |
上記のとおりとなっているようです。
なお、私が不倫の慰謝料の金額について以前分析した記事のデータでは、もう少し低めになっておりますので、近年、不倫の慰謝料が上がっている傾向にある、ということが言えそうです。
ただし、裁判例は判決がされたすべてのケースが公開されているわけではないので、十分に注意してデータを読み解く必要があります。
慰謝料の額の考慮要素
不倫の慰謝料は、不倫が「婚姻共同生活の平穏の維持」に対して影響を与えることから、損害賠償が認められると考えられています。
そのため、平穏を示す事情や、これに対して影響を与えた事情が考慮されることとなります。
具体的には、結婚されていた期間、子どもの有無、 不倫していた期間、 離婚に至ったかどうかなどが考慮されるといわれています。
とはいえ、実際に、どの程度の影響があるのか、ということを目にされた方は少ないと思いますし、実証的な研究が進んでいるとはいいがたいのが実情です。
不倫の慰謝料の考慮要素に関する記事を併せてご確認いただければと思います。
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