東京家庭裁判所の離婚調停の運用で気になったこと。

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 先日、東京家庭裁判所へ調停に行ってきました。その際の、調停の手続き的な運用について、気になったことをお話しします。

 比較対象がないとわかりにくいと思うので、名古屋家庭裁判所と比較しながらご説明します。

受付の有無

名古屋家庭裁判所の場合

 名古屋家庭裁判所では、裁判所につくと、まずは書記官室で受付を済ませます。ご本人のみで行く場合にはお名前を伝えますし、弁護士が行く場合には弁護士が名前を名乗り、ご本人が同行しているかどうかを確認します(同行しなければいけないわけではなく、来るかどうかの確認です)。

 そのうえで、申立人待合室か相手方待合室か、どちらか該当する待合室で待つよう指示され、そちらで待機します。

東京家庭裁判所の場合

 東京家庭裁判所は、直接申立人待合室か相手方待合室へ行くことになっており、書記官室で受付をする必要はありません。

 東京家庭裁判所は、調停の件数も多いため、受付をしているとパンクしてしまうということなのだと思います。運用としては、納得のいくところです。

待合室の場所

 調停では、当事者間の心理的な対立があるため、できるだけ当事者同士が直接顔を合わせないようにする、少なくとも代理人や調停委員がいない中で合わせることのないようにする、というのが原則だと思います。

 そのため、待合室の場所にも気を配り、申立人待合室と相手方待合室はできるだけ遠くに置くようにしていると理解しています。

名古屋家庭裁判所の場合

 名古屋家庭裁判所では、調停の申立人待合室と相手方待合室は、同じ階のフロアの右端の部屋と左端の部屋にあります。

 先ほどご説明した受付はフロアの中央にあり、エレベータを出るとすぐですので、受付を済ませたのち、申立人と相手方は、それぞれ反対方向へ進むことになります。

東京家庭裁判所の場合

 東京家庭裁判所では、調停の申立人待合室と相手方待合室は、通路一つ分向こう側にあるだけで、非常に近い場所にあります。

 ただし、待合室自体が、ガラスのドアで区切られた区画にあり、ドアを二つ通ることになるので、間違えてはいる可能性は低いといえます。

 ちょっと外に出たときに、顔を合わせる可能性は名古屋より高いとは思いますが、スペースの関係もあるため、仕方ないと思います。できれば、もう少し場所を離してもらえると安心できます。

呼び出しの方法

 一番気になったのは、調停委員が待合室にいる方を呼び出す方法です。

名古屋家庭裁判所の場合

 名古屋家庭裁判所では、待合室の当事者を呼び出す際には、調停委員が待合室にやってきて、事件番号を呼びます。事件番号とは、「令和●年(家イ)第1234号」、のように、裁判所がそれぞれ受付した事件につける番号です。

 プライバシーに配慮した、適切な運用だと思います。

 もっと小規模の裁判所では、受付時に番号が記載されたカードを渡し、そのカードの番号で呼ぶところもあります。適切な運用だと思いますが、間違えて持って帰らないよう注意が必要です。

 代理人がついている場合には、代理人の名前を呼ぶこともあります。代理人の名前ならプライバシーへの配慮の点でも、問題ないといえますし、自分が呼ばれたことがすぐわかるので、合理的だと思います。

東京家庭裁判所の場合

 東京家庭裁判所でも、事件番号で呼ぶものだと思っていましたが、調停委員から当事者の名字を呼ばれてびっくりしました。

 私の依頼者の名字を呼ばれたので、私の件かなと思ったのですが、同じ名字の方が複数いて違う事件の可能性もあると思い、名古屋家庭裁判所の運用の習慣から、「事件番号を教えてもらっていいですか」、と伺ったところ、小声ですが、名前をいわれてさらにびっくりしました。

まとめ

 裁判所ごとに、事情に応じて運用が異なるのは当然ですが、できれば、今後は事件番号を呼ぶなど、ご配慮いただきたいと思います。