民事事件の証人尋問の流れ

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民事事件と刑事事件

 テレビでは、よく法廷の絵が写されたり、裁判員裁判が普及したこともあり、皆様が持たれているイメージは、犯罪をした方を裁くときの裁判が頭に浮かぶのではないでしょうか。

 そして、法廷で関係者や本人が裁判官の前で話をする、というイメージを持たれる方が多いと思います。これが、証人尋問(被告人質問)と呼ばれる手続きです。

 これに対して、民事事件、お金を貸した、貸してないという争いや、残業したから残業代を払え、そもそも残業していない、という争いでも、裁判所で関係者や本人たちの話を聞くことがあります。

 これが、民事事件の証人尋問(当事者尋問)の手続きです。

 先日、民事事件の証人尋問があったので、せっかくですからこの手続きを紹介します。

民事の証人尋問と当事者尋問

 先ほど、証人尋問と当事者尋問という言葉を用いました。民事事件では、原告や被告など、裁判の当事者に関する尋問を当事者尋問(民事訴訟法207条以下)、当事者ではない関係者の方に関する尋問を証人尋問(民事訴訟法190条以下)と呼びます。

 名前が違うだけではなく、宣誓に関する規定など、若干の違いがあります。また後で触れます。

手続きの流れ

 ここからは、証人尋問の流れをご説明します。当事者尋問の場合も同じ流れになりますが、裁判所や裁判官により、若干の差が出る場合があります。

出頭カードなどへの記入

 出頭した方がだれかわかるように、裁判が始まる前に、住所、名前、職業などを出頭カードへ記載します。証人の場合は旅費日当を請求でき、請求するかどうかをチェックします。

 請求する場合は訴訟費用として当事者が支払います。証人は当事者の関係者なので、放棄する場合が多い印象です。

 また、合わせて、宣誓書への署名押印をします。これは、宣誓の際に使用するので、後でご説明します。

 証人は、傍聴席で座って待機します。

裁判の開始から尋問するまで

 裁判期日が始まると、証人尋問前に、その他期日の振興のため必要な手続きを行います。多くの場合、弁論準備手続きに付されていたものが弁論手続きとなるため、弁論準備手続きの結果を陳述する手続きが行われます(非常に専門的かつ技術的なので、省略します)。その他、書証の取り調べが終わっていなければ、取り調べを先に行います。

尋問の開始まで

人定質問

 裁判官は、尋問を始めましょうといって、証人を証言台へ呼び出し、人定質問をします。

 本来は、名前、生年月日、住所を確認しますが、法廷で読み上げると傍聴人に聞かれるため、プライバシー配慮の意味もあり、名前を確認したうえで、先ほど記載した出頭カードのとおりですか、と確認するのみの場合がほとんどです。

宣誓

 そのうえで、証人に、宣誓するよう促します。

 証人は、立って、先ほど署名押印した宣誓書を手に持ち、これを読み上げます。

 内容は、「 良心に従って本当のことを申し上げます。知っていることを隠したり,ないことを申し上げたりなど,決していたしません。以上のとおり誓います。 」です。念のため、フリガナが振ってあります。

 読み上げの際には、証人だけではなく、法廷にいる全員が立ち上がるのが慣習です。裁判官、弁護士、当事者本人、傍聴人も立ち上がることが多く、裁判官によっては、起立するよう促すこともあります。

制裁の告知

 宣誓が終わると、裁判官から、宣誓の上で嘘を述べた場合は「偽証罪」に問われることを説明します。

 当事者の場合には、偽証罪ではなく「過料の制裁」となります。

尋問の開始

 証人尋問が開始します。まずは双方の弁護士が質問し、最後に裁判官が補充で質問します。

尋問の終了

 尋問が終わったら、証言台から去ります。証人の中には、そのまま裁判を傍聴される方もいますし、帰っても大丈夫です。

尋問の中身

 実際の尋問における質問や、弁護士の工夫については、別の記事で述べるかもしれません。

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