村上龍著「69 sixty nine」を久しぶりに読みました。

この記事を読むのに必要な時間は約 3 分です。

 年末年始、時間があり、kindle版で村上龍著「69」を読みました。

 以下は、個人の感想ですので、的外れな内容があれば、ご容赦ください。

昔読んだ本を改めて読むこと

 もともと、私が大学生のころ、毎週のように神保町の古本街に行っていた時期に、古本屋で見つけて読んだ記憶があります。

 大学生は本を読むものだ、という意識があり、乱読していた時期でした。あまり内容を正確に理解できていたのかは分かりませんが。

 最近は、昔読んだ本をkindleストアで購入し、読み直すことがしばしばあります。高校時代、国語の教師が、純文学は大人になると気恥ずかしくて(?)読みづらいということを言っていたような気がしますが、私はアラフォーでも気にせずに読んでいます。

 昔読んだ小説を改めて読むと、当時と違う感想を持ち、当時は読めていなかった部分を感じます。これは年齢を重ね、自分の中で、色々な体験が生じた結果なのだろうと思います。

 古い小説を書店で手に入れることは難しいのかもしれませんが、今はインターネットですぐに注文でき、kindleなら購入してすぐ読めるので、非常にありがたいです。

 ただし、kindle版には、あとがきはついていません。なぜでしょう!?以下は、あとがきを読んでいない感想です。

あらすじ

 あらすじの紹介をするのもおこがましいぐらい有名な本ですが、古い本ではあるので、kindleストアから引用してご紹介します。

1969年、東京大学は入試を中止した。人々はビートルズに熱狂し、世論はベトナム戦争に揺れていた。僕は長崎県佐世保市、基地のある町に暮らす高校三年生。なにか面白いことをしたい、みんなを驚かせたい、女の子にモテたい!ただそんな気持ちから、僕は仲間たちと一緒に学校をバリケード封鎖した―。爆発しそうな衝動と真っ直ぐな心をあわせ持った高校生たちを描く、青春小説の金字塔。

 今の時代からすると、1969年に学生運動が繰り広げられた影響で入試が中止になることも、高校生が学校をバリケード封鎖することも信じられない出来事ですが、それ自体は歴史的事実です。私の母校でも、当時、発生したようで、古い文集に、当時の出来事の経緯が記載されていました。

 ただ、この小説の主人公は、あらすじにあるとおり、戦争に反対だからではなく、女の子にモテたいからバリケード封鎖をしています。

感想

 以前も読んで感じたのは、この時代の空気感をとてもよく感じられる小説という部分です。主人公に限らず様々な立場の人物が出てきて、当時の様々な様子が描かれます。

 今の高校生では考えられないような躍動感を強く感じられます。

 小説にかかれている出来事を正当化したいわけではありませんが、そのような、今から見ればいわば「型破り」な行動は、色々な経験の一部としてあってもいいものなのかもしれないと、非常に感じます(犯罪行為や校則違反を正当化する趣旨ではありません。念のため。)。

 小説としてみたときには、ときに出てくる主人公のスノッブな話(実はよく知らない)や、学生運動を意識させる描写と、主人公とレディ・ジェーン(ガールフレンド)の交際の場面の対比は非常に見事だと思います。主人公は、徹底的に、崇高な思想がない、退屈を忌避する主人公として描かれていますが、この対比により、主人公の性質がより際立ちます。

 小難しいことを書きましたが、青春小説なので、高校生や大学生にとっては、いわゆるライトノベル感覚で読めると思いますし、丁寧に作られている小説ですので、非常にお勧めできます。

まとめ

 年末年始に手に取った小説ですが、色々なニュースをみて、この小説と直接関係ないことではありますが、感じる部分があり、取り上げてみました。

 この記事を読んでいる方に、高校生や大学生は少ないかもしれませんが、もしいらっしゃれば、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。