刑事司法と法務省のHPと海外ドラマ。文化の違いや、制度の違い。
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年末年始、カルロス・ゴーン氏が保釈条件に違反して海外へ出国したとのニュースが世間を騒がせました。
私も、興味深くニュースをおっていました。
本日、法務省のHPに、「 我が国の刑事司法について,国内外からの様々なご指摘やご疑問にお答えします。 」との記事が公開され、その記事で言及されている法制審議会の資料にも簡単に目を通していたところ、ふと海外ドラマの一場面を思い出しました。
思い出したきっかけとなった記載
法務省の上記記事で、「 日本では,なぜ被疑者の取調べに弁護人の立会いが認められないのですか。 」との問いに対する回答で、法制審議会の議論について言及がありました。
気になって、該当する法制審議会( 法制審議会 – 新時代の刑事司法制度特別部会 と思われます)の議論について、議事録に目を通していたところ、「 第14回会議(平成24年10月30日開催) 」の議事録において、酒巻委員の以下の発言が目に付きました。
「取調べ」という言葉が表現している我が国の営みと,原語である interview とか interrogation とか interrogatoire という言葉で表現されているものは, 全然違うものなんだということを前提にした上で議論をしないと,いろいろなことが混濁 すると思います。
第14回会議(平成24年10月30日開催) 酒巻委員発言より抜粋
制度を比較するにあたっては、その制度の全体の中での位置づけを押さえた上で比較をする必要があります。
そこで、上記取調べの(大枠での)位置づけですが、議事録の中での大久保委員が、イタリアとフランスの視察を踏まえた発言を見ると、理解しやすいものと思います。
…向こうの取調べというのは「インタビュー」という言葉を使っていましたよう に,基本的には弁解を聞くということに主眼がありましたので,日本のように事案を解明 するための取調べではないということを感じました。
第14回会議(平成24年10月30日開催) 大久保委員発言より抜粋
弁解のための機会か、捜査の一環か、という位置づけが、取調べにおける弁護士の立ち合いの要否につながっている、ということです。
なお、この議事録は、各委員の発言から、取調べに対する様々な考え方が見て取れる、非常に面白い議事録です。
思い出した海外ドラマ
議事録は、上記のような議論を踏まえ、アメリカでの取調べの立ち合いについて、但木委員が以下のように指摘しています。
つまり,アメリカに行って分かったことですが,別にアメリカは取調べ で立会いというのは,理論的にはあるけれども,実際は取調べに立会いなんかしないよと, その理由は何かというと,弁護士が被疑者に言うのは,「おまえ,黙秘しろ」と言うわけ です。そうすると,黙秘してしまうわけです。黙秘しちゃっている人に立ち会ってもしよ うがないから立ち会わないよと。
第14回会議(平成24年10月30日開催) 但木委員発言
この発言を読んで思い出したのが、以下のドラマです。
The O.C.(リンクはWikipedia)
このドラマは、不良少年のライアンが、担当弁護士サンディのもとで生活を始めるドラマで、内容はライアンやサンディの息子のセスを取り巻く青春ドラマが中心です。
ドラマの中盤の1シーンで、サンディが、ライアン(だったと思います)が目の前で逮捕されるときに、ライアンに向かって一言、「黙秘しろ」と伝えたシーンを思い出しました。
その後、ライアンはすぐに釈放されています。
アメリカではこのアドバイスや流れが普通で、だからこそ、ドラマで、当然に、黙秘しろ、というアドバイスが描かれているのでしょう。日本の同様の青春ドラマであれば、その後に警察に正直に真実を話すシーンが描かれると思われます。
まとめ
全体としてとりとめもない記事になりましたが、今年もできるだけブログや記事を更新していきたいと考えています。