なぜ今も司法試験は手書き? ― 現代に残る“筆記試験”の背景と実情
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■1. 懐かしの手書き試験。
学校の定期テスト、大学入試、各種資格試験――多くの人が「紙とペン」で解答用紙を埋めるという経験をしてきたのではないでしょうか。社会のデジタル化が進んだ今、日常生活の中で、手書きで長い文章を書く機会はあまりないのではないでしょうか。
さて、法律の世界においては、いまなお「手書き」での試験が基本です。特に司法試験や、司法修習生が受ける「二回試験(司法修習生考試)」は、受験者が長時間かけて答案を手で書き続ける形式となっています。
■2. 手書きの理由は、“システムよりも確実だから”
なぜ、いまだに手書き試験が続いているのか――。その最大の理由は「公平性」と「安定性」にあると思います。
たとえばパソコンを使った試験を導入しようとすると、「すべての受験者に同一スペックの端末を用意できるのか」「予期せぬ不具合が起きた場合の対応は?」「データの取り扱い、提出方法」など、技術面・運用面での課題が避けられません。
特に、司法試験や二回試験のように数千人規模で実施される重要な試験では、何よりも「全員が同じ条件で受験できること」が重視されます。そうした意味で、紙にペンで書くという試験形式は、古典的な方法ですが、極めて安定した手段といえます。
■3. 実際の試験現場は、想像以上に過酷です
司法試験も十分に長丁場ですが、実は「二回試験」の方が身体的には厳しいとも言われています。数日間にわたって毎日長文を手書きで起案し続ける必要があり、終了後は「手が動かない」「腕が上がらない」と語る修習生も少なくありません。
ちなみにこの二回試験、あまりに長時間であるがゆえに――試験中に事前に持ち込んだ昼食を食べてよいという、他の試験ではあまり聞かない制度もあります。
試験というよりは“戦”に近い、そんな空気感すら漂う試験です。
■4. 今となっては非効率…それでも続く理由
実務ではほとんどの書類がパソコンで作成され、メールもクラウドも当たり前の時代です。「手書きの練習をしても現場では役に立たない」です。私も、弁護士になって以降、長文を手書きで作成した覚えはほぼありません。
しかし現時点では、制度や運営体制の限界、何より受験の公平性を担保するという観点から、手書き試験は今後もしばらく続くと見られています。
■まとめ
法律の試験が「手書き」という形で残っているのは、いわば“最小限のトラブルで最大限の公平性を保つ”という意図によるものだと思います。デジタル全盛の時代にあってやや時代遅れに感じられるかもしれませんが、受験生にとってはこの形式が当面の現実です。
正直、構成を考えたり内容を考えたりするより手書きに費やしている時間が多くかかり、能力をみるという点で必ずしも適切ではない形式(余計な要素が多すぎる)と思うのですが、これも試験の不条理ということでしょうか。
※本記事は生成AIを活用し、弁護士中村正樹の監修のもと作成しています。