なぜ離婚届は勝手に提出されてしまうのか。

この記事を読むのに必要な時間は約 3 分です。

 先日、ニュースで、離婚届を勝手に提出されてしまうという記事が流れました。

 離婚届けを勝手に提出されてしまう問題については、以前記事にしたことがあります。

 今回は、一般論として、なぜ離婚届が勝手に提出されてしまうのかをご説明します。

離婚届に関する法律の規定

 民法は、離婚について、民法763条で、「 夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。 」と定め、話合いのみで離婚ができるとしています。

 裁判所等の関与なく、離婚ができることとされているのは、比較法的にみて珍しい立法例のようです。

 この規定を踏まえ、戸籍法76条は、離婚届けの提出について以下のとおり定めています。

 離婚をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。

一 親権者と定められる当事者の氏名及びその親権に服する子の氏名

二 その他法務省令で定める事項

戸籍法76条

 なお、協議で離婚できることとされていますが、離婚自体は離婚届が提出されたときに成立します。

離婚届提出の際の本人確認

 離婚届けを提出する際に、窓口で本人確認がされます。しかし、子の本人確認に関する規定は、以下のとおり不十分なものとなっています。

 市町村長は、届出によつて効力を生ずべき認知、縁組、離縁、婚姻又は離婚の届出(以下この条において「縁組等の届出」という。)が市役所又は町村役場に出頭した者によつてされる場合には、当該出頭した者に対し、法務省令で定めるところにより、当該出頭した者が届出事件の本人(認知にあつては認知する者、民法第七百九十七条第一項に規定する縁組にあつては養親となる者及び養子となる者の法定代理人、同法第八百十一条第二項に規定する離縁にあつては養親及び養子の法定代理人となるべき者とする。次項及び第三項において同じ。)であるかどうかの確認をするため、当該出頭した者を特定するために必要な氏名その他の法務省で定める事項を示す運転免許証その他の資料の提供又はこれらの事項についての説明を求めるものとする。

戸籍法27条の2第1項

 この規定は、届け出にきた方が、当事者であるかどうかを確認するものです。しかし、来ていない方については、窓口で確認はしません。

 また、署名押印が本人がしたものかも、確認する方法はありませんし、離婚届への押印は、認め印でよいとされております。

 結果として、勝手に出された方の意思を確認する手段のないまま、届け出が受理されてしまうという実態が生じます。

戸籍の記載を訂正するのは大変

 以前、別の記事でご説明しておりますが、勝手に届出を出されると、これが刑事罰の対象になることはともかく、戸籍の記載を訂正するには、調停または裁判で、離婚の無効を主張することが必要です。

 これは、非常に大変な手続きです。

離婚届が勝手に出されてしまった場合、すぐに弁護士にご相談を

 離婚届が勝手に出されたのに、これを放置しておくと、追認したとされて訂正自体ができなくなる可能性があります。

 離婚届けを勝手に出された事実がわかったら、すぐに弁護士にご相談ください。

 あいなかま法律事務所では、土日・平日夜間もご相談可能ですので、仕事帰りや仕事がない休日にご相談したい方は、あいなかま法律事務所へご連絡ください。