有斐閣の『法律用語辞典』(法令用語研究会編)を買いました。

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

 以前、前の版を購入していたのですが、自宅にしまい込んで探すのが大変だったのと、新しい版が出ていることもあり、購入しました。

 せっかくなので、弁護士の使い方をご紹介します。法学部の学生さんなどで、購入を検討されている方は、参考にしていただければと思います。

法律用語辞典の構成

 そもそも、法律用語辞典にはどのようなことが書いてあるのか、ご説明します。

 有斐閣ホームページから確認できる、法学教室の「Book Information」コーナーの記事から確認できる編集担当者によれば、

有斐閣のもう一つの辞典『法律学小辞典』が一つの言葉を掘り下げて解説しているのに対し,この『法律用語辞典』は,主に法令で使われている言葉を広く採り上げ,端的に解説したものになっています(収録項目数は約 1 万 4000 項目で,『法律学小辞典』の約 1.6 倍)。

 と説明があり、書籍の帯には、

法律用語に特化した、有斐閣の「国語辞典」!

 と書かれています。

 ここからわかるように、法令で使われている用語に特化した、国語辞典のような存在と理解いただければおおむね間違いないといえます。

実際の内容のご紹介

 一例をあげると、法律用語で、「もの」、「物」、「者」とあり、それぞれ厳密にいます。もちろん、法律用語辞典では、その使い分けを含めて解説がされています。

 私の取り扱い分野に関係する「婚姻」を調べると、法律用語としての解説がされています。もちろん、結婚することという意味なのですが、これに続いて、法律婚主義や婚姻の実質的要件、形式的要件についても触れられています。

 また、家事事件において、「審問」という手続きがあります。これは、ざっくりご説明すると期日に裁判官が当事者らに対して質問する手続きです。(私は、お客様にはわかりやすく証人尋問のようなお手続きですとご説明しています。)

 もちろん、この「審問」という用語についても、説明がされています。

 このあたりの用語は、裁判用語としてはメジャーどころですが、例えば「新聞紙法」といった、私もこの記事を書いていて初めて知った用語も説明がされています。

実際の使い方

 弁護士が、法律用語辞典をどのように使うのか、そもそも私がなぜ購入したのかをご説明します。

 自分の取り扱っている分野については、もちろん十分な知識があり、また仮に確認したいことが出てきても、手元にある専門書でまずは確認します。

 また、非常に細かい用語を確認したいときは、辞典を開くより、まず一旦インターネットで検索します。その上で、関連する記事や書籍を確認します。

 それでは、法律用語辞典をどのタイミングで使うかというと、ほとんどの場合、文書を作成するとき、書面を書くときです。

 細かい用語の使い分けについて迷いが生じたときに、法律用語辞典を開くと、法律分野における使い分けや、簡単な解説が記載されており、非常に便利です。

 例えば、法律の初学者あるあるの、「保障」「保証」「補償」の使い分けについてふと迷ったとき、「みなす」と「推定する」の違いについて迷ったときに、法律用語辞典は役に立ちます。

法律学小辞典と比較したメリット

 私は、司法修習生のころ、勧められて、法律用語辞典と法律学小辞典を両方とも持っていました。当時、実際に使っていたのは、法律用語辞典だったので、今回は購入する際に迷わず法律用語辞典を購入しました。

 もし、これから法律を学ぶ方が、「補償」について確認したいということであれば、法律学小辞典の方が解説が細かくていいのかもしれません。

 ただ、司法修習生のころは、ちゃんと確認したいのであれば、そもそもそれぞれの法律分野の専門書を確認するので法律学小辞典を使うことはあまりありませんでした。また、私があげたような、どちらだったか「迷い」が生じたので確認したいという用途には、むしろ解説が簡素な方が見やすくて便利と感じています。

 デジタル情報と比較した紙の書籍の大きなメリットである、ある情報を調べる際に周辺情報がパッと目に入るという特徴は、むしろ解説が短く、1ページにたくさんの情報が入る方が効率的に働きます。先ほどの「補償」に関するページを見ると、同じページに補償契約、保証契約などが目に入り、ついでに読んでちょっとした知識を補完できます。

 ということで、私は、法律用語辞典を推しています。起案のお供には、間違いなくお勧めです。

法律学小辞典をお勧めする方

 私の推しはともかく、法律を勉強するにあたっては、解説が充実しているということはやっぱり非常に魅力的です。

 今はインターネットでいくらでも細かい知識の簡単な解説を確認できます。先ほど挙げた「新聞法」も検索すればWikipediaに解説が出てきます(正しいかどうかは別問題ですが、解釈がかかわらない知識に属する内容は、比較的間違いは少ない印象です)。そのため、むしろ一般の方からすれば、法律用語辞典はわざわざ買わなくてもいい、と感じられる方もいると思います。

 ただし、特に専門分野の定義や解釈については、インターネット情報はやや曖昧、不正確なこともあります。

 そのため、法学部ではないけれども法律を少し勉強したくて法律に関する科目を取り、用語がわからないため授業が分かりづらいと感じている方や、法学部でも司法試験や公務員試験などの受験を検討していない方で、授業の法律用語を確認したいという方で、専門書を購入して調べるまではしたくないと感じられる方は、法律学小辞典をお勧めします。

まとめ

 今回の記事は、私が最近買った本の紹介でした。

 また、法律の学習に便利な本があれば、ご紹介したいと思います。