【養育費の完全ガイド】金額・期間・手続き・トラブル対応まで解説|弁護士がわかりやすく解説
この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。
養育費とは?基本の意味と法的根拠
養育費の定義と法的性質
養育費とは、未成熟の子どもが生活するために必要な費用を言います。親権者とならず子どもを直接監護していない親も、子どもに対する扶養義務があり、子どもの監護のために必要な費用を分担する義務があります(民法820条、民法877条)。
養育費は誰が誰に支払う
通常は、子どもと同居していない親から、子どもと同居して監護する側の親に対して支払われます。
養育費の支払期間はいつまで?終了条件を詳解
成人年齢は18歳となりましたが、養育費の支払い終期については、従前の運用に従い、20歳までとされることが一般的です。
子どもが大学に進学した場合を想定し、大学卒業までなどと合意することもあります。
養育費の相場・算定方法
家庭裁判所の「養育費算定表」とは?
家庭裁判所が公表する養育費算定表は、父母の収入や子の人数、年齢に応じて、標準的な養育費の額を示す資料として、裁判実務上広く用いられています。
養育費算定表はこちらから(裁判所ウェブページ『平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について』)
年齢・人数・収入別の目安(標準算定表の使い方)
子どもの人数や年齢に応じ、ご自身の状況にあった表を確定します。その上で、父母双方の年収や所得の別(給与所得と自営業)を踏まえ、該当する金額帯を確認します。
進学・医療費など「特別費用」の取り扱い
算定表は統計資料を基に標準的な家庭を想定し算出しています。そのため私立学校への進学などについては、個別に協議等を行うことが多いといえます。
養育費の取り決めと手続きの流れ
夫婦間の協議で決める際のポイント
書面により、金額、支払方法、支払期間(終期)を明確にしておくことが重要です。金額を話し合う際には、算定表を参考に、子どもの事情を考慮して決めるのがいいでしょう。
調停・審判と進め方
協議が整わない場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てることが可能です。調停で合意ができない場合には、審判により裁判所が養育費の金額を決定します。
公正証書・調停調書・審判書の効力と特徴
調停調書、審判書はいずれも支払いがされなかった場合には強制執行が可能です。
公正証書については、強制執行認諾文言が記載されたものであれば、調停調書や審判書と同様に、支払いがされなかった場合には強制執行が可能です。
養育費とその他の家事制度との関係
面会交流との関係性と注意点
面会交流と養育費の支払いはそれぞれ別のものと考えられており、面会をさせなければ養育費は支払わない、養育費を支払わなければ面会はさせないという主張はいずれも不適切です。
親権を持たない親の支払義務は?
親権と養育費の支払いは別のものと考えられており、親権を持たない場合にも養育費の支払い義務は生じます。
婚姻費用との違い
婚姻費用は離婚が成立するまでの間の生活費であり、養育費は離婚後の子どもに関する費用であって、それぞれ別のものとなります。
養育費の増減・見直し手続き
収入変化や再婚があった場合の見直し
収入の変化や権利者の再婚、義務者に別に子どもができた場合など、事情の変更がある場合には、養育費の金額の見直しをすることが可能です。
増額/減額請求の法手続きの流れ
協議により合意で変更することも可能ですが、協議が整わない場合には家庭裁判所の養育費変更調停、審判により変更します。
養育費に関するよくあるトラブルと予防法
口約束だけでトラブルになるケースとは
約束した内容を書面に残さない場合には、のちに金額、期間、支払い方法についてトラブルが生じやすくなります。そのため、合意した内容を書面にして、双方が署名押印しておくことが大切です。
過去分の請求は可能?時効について
養育費は請求した時点から発生すると考えられているため、明確に請求する前の養育費について支払いを求めることはできないとされています。
また、一度合意した養育費の支払いが滞った場合には、のちにまとめて請求することが可能ですが、時効(5年間・民法166条1項1号)には注意が必要です。
養育費で迷ったらどうすべきか
弁護士に相談・依頼すべきタイミング
相手方が支払いを拒否したり、金額についての話し合いがまとまらない場合など、早期の弁護士相談が有効です。
相談前に準備すべき資料・情報
収入に関する資料を準備しておくとご相談がスムーズです。
また、養育費の取り決めをすでにしている場合には、取り決めをした文書等をご準備ください。
まとめ|後悔しない養育費の取り決めとは
養育費はお子様の生活や将来を守るため、非常に重要です。あいまいな取り決めを避け、適切な形で書面化するなど、適切な対応が望まれます。
迷ったときは、早めに弁護士へご相談ください。