はじめての面会交流の前に知っておいてほしいこと

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 別居して、しばらく別居親と子どもがあっておらず、弁護士が入って調整し、初めて面会交流が実施される、というケースはしばしばあります。

 特に、別居後時間がたっている場合や、夫婦の対立が激しい場合、色々なことが心配になり、些細な行き違い等でトラブルになり、その後の面会交流に悪影響を及ぼしてしまうこともしばしばあります。

 そこで、以下では、初回面会交流にあたっての注意事項や、初めての面会交流で守った方がいいルールを、ご説明します。

面会交流の意義

 面会交流の意義については、法務省HPで以下のように説明されています。

面会交流を円滑に行い,子どもがどちらの親からも愛されていることを実感し,それぞれと温かく,信頼できる親子関係を築いていくためには,父母それぞれの理解と協力が必要です。夫婦としては離婚(別居)することになったとしても,子どもにとっては,どちらも,かけがえのない父であり母であることに変わりはありませんから,夫と妻という関係から子どもの父と母という立場に気持ちを切り替え,親として子どものために協力していくことが必要です。

法務省HP(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00017.html

 面会交流の実施にあたっては、子どものために実施している、という意識を、双方が持つことが必要です。

面会交流のルールについて

 基本的な面会交流のルールは、裁判所が発行している「面会交流のしおり」(裁判所HPへのリンク)に記載されています。

 内容としては、多少物足りないや、もう少し踏み込んでご説明いただいたほうが納得できるといったもあるのですが、必要なことは記載されていますので、初めての面会交流にあたっては、こちらを事前に読んでおいた方がいいといえます。

 私も、私が入って初めて面会交流を実施するお客様には、同居親、別居親側どちらにも、内容を確認いただいています。

初めての面会交流について特に説明する理由

 ほとんどの方が、「面会交流」は初めての体験になります。子どもにとっても、しばらく離れて生活していた親と会うことで、場合によっては多少緊張しているケースも少なくありません。

 初回の面会交流が上手くいけば、多くのケースで、その後の面会交流もうまく行く印象です。初めは会わせること、会うことに非常にプレッシャーを感じていた方が、初回の面会交流がうまく行き、その後は自然に面会交流を実施できるようになることは多くあります。

 子どもと離れて暮らしている親にとっては、これまで普通に会えていたのが、会えなくなってしまったので、自由に柔軟に合わせることを求める方も多くいらっしゃいますし、その気持ちは私も非常によくわかります。

 その場合も、子どもと一緒に暮らしている親の緊張や心配に配慮し、徐々に面会交流を進めていくことで、いずれ回数や時間が多く、柔軟に会えるようになる傾向があることをご説明し、理解いただいております。

 そのためにも、初回が非常に重要です。

 そこで、以下では、裁判所の説明する面会交流のルールを解説しながら、特に初回面会交流で注意した方がいい点をご説明します。

子どもと離れて暮らしている方向けのルール

面会交流の日にちや時間、場所などは、子どもの体調、生活のペース、スケジュールに合わせましょう。

 面会交流にあたっては、子どものスケジュールや、場合によっては受け渡しする親の都合など、配慮が必要なことは多くあります。特に初回は、お互いにやり方がわからないこともあり、当日具体的にどのように受け渡しをするのかまで決めておく必要があるケースもあります。

 また、お子様の急な発熱などで、当日実施ができなくなるケースもあり、その場合にどのように連絡を取るのか、ということも想定しておく必要があります。

 面会交流でなくても、小学生までの子どもであれば、外に遊びに行くとき、どこに行くのか、誰と遊ぶのか、何時に帰るのか、は親として当然気になるところです。面会交流であっても、どのような予定なのかをきちんと子どもと一緒に暮らしている親に伝えておいたほうが、安心して実施ができます。

 また、子どもと何をする予定かをあらかじめ伝えておけば、例えば外で遊ぶ予定なら、夏なら日差しを避けるため帽子を用意したり、冬なら温かい服装をさせるなど、配慮も可能です。

 細かなことまで伝えて、煩わしいと感じるかもしれませんが、初回は特に配慮する方がいいといえます。

あらかじめ決めている面会交流のルールは守りましょう。

 終了時間や行先など、あらかじめ決めたことは、きちんと守ることは、お互いに約束を守るという信頼関係を築くうえで非常に大切です。特に初回に約束が守られないと、その後も守ってもらえないという不信感から、ルールが厳格になっていってしまうこともあります。

 約束に限らず、子どもと一緒に暮らしている親が、「それは聞いていない!」と感じると、その後のルールが厳しくなってしまうことがあります。

 そのため、一つ目の点と関連しますが、例えば雨が降ったらどうする、プレゼントを渡すなど、特に初めは細かいかもしれないと思われるほど、色々な場合を想定し、事前に伝えておくことで、「それは聞いてない!」と相手が感じることが少なくなり、その後の円滑な面会交流につながります。

子どもがのびのびと過ごせるようにしましょう。

 タイトルだけだとわかりづらいですが、説明を読むと、子どもとの話題を気を付けるとの趣旨のようです。

「一緒に暮らしている親の悪口を聞かされたり、親の様子をしつこく聞かれると、子どもの気持ちは重くなってしまいます。」

面会交流のしおり(裁判所作成)

 ちゃんと生活できているかなど、子どもの今の生活が気になると思いますが、まずは、子どもが楽しく話せる話題、学校のことや子どもの関心ごとなどの話を聞く方が、充実した面会交流になるといえます。

 また、次のルールの話に関連しますが、子どもの興味関心を踏まえて、プレゼントや次の面会交流で行くところを考え、子どもの興味がある面会交流を提案することにもつながります。

 一緒に暮らしている親の悪口を言ったり、現在の生活についてよくない所を指摘すると、子どもは、面会交流がつまらないと感じてしまうかもしれません。その後の面会交流に悪い影響を与えないよう、一緒に暮らしている親の話は、できるだけしない方がいいといえます。

高価な贈り物や行き過ぎたサービスはやめましょう。

 久しぶりに会う子どもに、プレゼントをしたいという気持ちは当然です。ですが、あまり高いプレゼントを、理由なくあげるのは、子どもの成長にとって良くないことといえます。

 特に、初回の面会交流で、久しぶりに会えた嬉しさから、ついプレゼントをしがちですし、場合によってはこれが高いものとなるケースもあり、これがトラブルの火種になることもあります。

一緒に住んでいる親に相談することなく、子どもと約束をすることはしないようにしましょう。

 面会交流は、親同士が話し合って、その実施を決めていくものとなります。一緒に暮らしている親の意向を確認せず、子どもと約束してしまうと、子どもに、一緒に暮らしている親に言いづらい、というような後ろめたい気持ちになったり、紛争の火種になってしまうこともあります。

 もちろん、子どもの話を聞いて、子どもの希望を聞くこと自体は、積極的にして、次回以降の面会交流で提案した方がいいといえますが、その場で子どもと約束してしまうことは避けましょう。

 また、子どもから、今度●●に行きたいといわれたら、一緒に暮らしている親に相談してみるね、といったん持ち帰りましょう。

子どもと一緒に暮らしている親のルール

子どもの様子を相手に伝えるようにしましょう。

 子どものための面会交流にするために、今の子どもの関心ごとや学校での様子など、相手に伝えてあげると、相手が自然に子どもと話ができ、子どもも相手と楽しくお話しすることができます。

 なかなか初回の面会交流の前に、子どもの関心ごとなど伝えるのは難しいかもしれませんが、もしできるなら、最近子どもがはまっていること、頑張っていることを伝えるだけでも、面会交流は円滑に進みます。

過去の夫婦の争いや相手の悪口を子どもに言わないようにしましょう。

 どうしても、別居後、子どもに夫婦の諍いなどを伝えてしまっていることもあります。夫婦喧嘩を子どもが見てしまっていることももちろんあります。

 別居後、相手に対しての感情を押し殺す必要は全くありませんが、それを子どもに伝えると、子どもが相手に悪い印象を持ってしまい、子どもの成長によくない影響を与えてしまうこともあり得ます。

 そのため、日常的に、相手の悪口を言ったり、それについて子どもに同意を求める、ということは避けた方がいいといえます。

 また、別居について子どもにどのように説明するかは、子どもの年齢や、子どもと相手との関係、それまでの夫婦の関係を子どもがどのように理解しているのかにより、一概には言えません。ただし、説明する場合でも、夫婦の関係と親子の関係は、きちんと切り離した形で、説明した方がいいといえます。

子どもが「会いたくない。」と言うときは、その理由をよく聞いてみましょう。

 面会交流で、子どもが面会交流をしたくないということがあります。初回の面会交流では、子どもの意向として面会交流を拒否していると告げられ、そもそもの実施が難航することがあります。

 子どもが拒否している以上、無理に面会交流をさせることは、子どもにとって大きな負担となってしまう面がありますが、一方では、面会交流で子どもと子どもと離れて暮らす親が交流を続けることは、子どもの成長にとって良い影響があるといわれています。

 また、子どもの年齢が小さい場合、特に理由なく嫌がり、実際に会わせたら楽しく過ごせた、ということもよく見かける光景です。

 そのため、子どもが会いたくない、と言ったら、その理由を子どもに聞いてみてください。そして、その理由を、相手方にきちんと伝え、実施のタイミングを含め、相談するのが、いいといえます。

子どもが面会交流に出かけるときは、笑顔で送り出しましょう。 子どもが帰ってきたら、笑顔で温かく迎えてあげましょう。

 子どもは、一緒に暮らしている親の顔色をどうしても窺ってしまいます。

 送り出すときや帰ってきたとき、一緒に暮らしている親が不満そうな顔をしていると、子どもが後ろめたい気持ちになったり、両親の間で板挟みになってしまうことがあります。

 また、面会交流が終わった後で、面会交流の様子をこちらから聞くことは、聞き方によっては子どもに負担感を感じさせることにつながるため、こちらからは細かくは聞かず、子どもが自然に話しだしたときに、聞いてあげるのがいいといえます。

まとめ

 細かなご説明が多くなりましたが、全体としてのポイントは、以下の2点です。

  •  子どものための面会交流という点をお互いが理解すること
  •  お互い初めての面会交流で緊張していることを前提に、面会交流の実施についてあらかじめ色々と連絡・調整して配慮しておくこと

 上記のような点について、弊事務所にご依頼いただいている場合には、私がお子様の年齢やこれまでのお互いの関係を踏まえ、面会交流の実施場所や事前の調整、必要な場合には立会いを含め配慮して、面会交流がスムーズに進むよう、調整させていただいております。